・ ページ43
僕の所為で僕の趣味に穢れた甲斐は、顔を赤らめながら涙目と錯覚するような潤った瞳で僕の事を見つめている。
成程、これが事前トロ顔か。
｢そういうメス顔すると男を刺激すんの分かんねぇの？ほんっと莫迦だな｣
何故だろう、僕まで変な性癖に染まってしまって、甲斐を罵る事に興奮を覚えてしまう。甲斐が傷つくから今すぐにでもやめたいのに、甲斐が生々しくよろこぶように身体をよじるからやめられない。
｢メスの顔って……何それひっどーい！！だって石上の事見てたら……なんかその……胸の辺りがっ、んっ｣
甲斐の言葉を最後まで待たずに唇を奪う。抵抗はしてこない。舌を入れても、抱きしめても抗う素振りを少しも見せない。
少しの合間に聴こえるん、だとかふ、という艶っぽい声が僕をぐちゃぐちゃに惑わせる。思わず力が入り、甲斐の皮膚にギリっと爪が食い込む。
無意識からか、それとも意識してか甲斐が僕の首に腕を回す。完全に抱き合う状態となった僕たちは口腔の弄り合いを迷い無く続けた。
甲斐の腰に手を回し、またぐっと力を込めて僕の印をつける。これから甲斐に触れる奴全員、僕の痕跡を見れば良い。例え僕と甲斐がこの先絶縁したとして、今この瞬間甲斐が僕に身体を許してた事実は揺るぎない。
甲斐がこの先出逢う男は全員、僕が甲斐に擦り込んだ癖と知識で嫉妬に狂えば良い。妬み怨みで気がおかしくなって、僕のようになってしまえば良い。
甲斐はもう何色にも染まらない。永遠に僕の色。僕が最初にインクをぶちまけたんだ、そうでないと困る。
甲斐は僕の、絶対、ずっと永遠に。彼女自身がそう思っていなかったとしても、甲斐の根底には僕の叩き込んだ価値観がある。
好きだ、好きすぎて殺したい位好きだ。僕は絶対、甲斐が悲しむ事はしないけど。
頼むから永遠に僕のものに────────
あ、まずい。何考えてたんだ、今、僕。
慌てて唇を離し、我に返る。
｢石上……もうしないの……？｣
息も荒く、火照った顔で問う甲斐。つうっとどちらの物とも分からない涎が甲斐の口からこぼれ落ちて、なんとも妖艶だ。
｢や……もう、これ以上はほんとに……学校の中でするのは、色々あって自分を抑えられる自信が無いから……｣
周りの目も顧みず甲斐を色々な意味で殺してしまうかもしれない。
｢お願い、も一回｣
｢だから嫌だって｣
｢お願いだからっ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2022年6月27日 0時
