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｢貴方ねぇ、保身に走りすぎよ。好きバレとかそういうの、怖いのは分かるけれど……どちらもその状態だと状況は動かず時間だけが過ぎていくわ。本当に好きなら、少しでも追っかけてあげなさいよ｣
｢や……でも、僕なんかがアピールしたら甲斐に迷惑が｣
僕の所為で甲斐に迷惑がかかる位なら、こんな気持ち仕舞っておいた方が。
｢貴方のその自分を過小評価する癖は何とかならないの？聞いたわよ、この前の実力テストでも相当高得点だったそうじゃない。石上くんは頭も良いし顔も整ってる。まあ私の好みではありませんけれど……もっと自信を持ちなさいよ｣
そんな事言われたって、変に自意識過剰になっても空回りして失敗するのは目に見えてる。
実際僕は十五年と半年の人生の中で幾度となく失敗と挫折を繰り返してきた。成功するビジョンが見えないというのは、結構なハンデだ。
｢……僕でも、甲斐に好きだって伝えて良いでしょうか。迷惑になったりしないでしょうか｣
｢人から好かれて迷惑だと思う程彼女の性根は腐っていないわ。本当に自分に自信が無いのね……貴方のその卑屈さを直すためには成功体験が必要よ。次のテスト、順位が貼り出される五十位以内に入りなさい。貴方自身が自分を見直すきっかけになるわ｣
｢ご……五十位以内ですか。今までは底辺同士の争いだったのでそこまで苦労しなかったですけど、五十位となると……本格的に勉強が必要ですよね。あああ、出来る気がしなくなってきました｣
五十位……偏差値七十七を誇る秀知院でもトップ層が切磋琢磨する激戦区だ。そう易々と上がれる舞台ではないだろう。
｢何言ってるの、石上くんは優秀よ。貴方なら出来るわ｣
視線が重い……本当に出来るかなぁ、あてどもなく勉強してヤマが大外れとかそういうのがあったりするかもしれない。もしかしたらテスト範囲自体間違えたり……ああ、予習を進めすぎて変な所まで勉強してしまう事もあるかも。
生徒会の仕事も手を抜くわけにはいかない。今まで通り生徒会活動はしながら勉強時間を増やすか？とりあえずゲームのログインは一日一回までにして、携帯ゲームの方は後で使用時間を五分以内に設定しよう。
PCも回線抜いて、ツイッターもログアウトして……やる事が多いな、今日中に全部出来るだろうか。
｢知力さえ彼女の上に立ってしまえば、貴方結構Aさんの好みなんですから……頑張りなさいよ｣
｢……はい｣
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2022年6月27日 0時
