☆お月見な僕たち ページ4
「お月見?生徒会で!?生徒会ってそんな事ばかりしてるの」
通話画面からため息が聞こえてくる。
「ああ、会長の提案でな。だから今日は予備校行けないわ、すまん」
「……まあ私も今日は空見たい気分だったし、良いわ」
なんだ空見たい気分て。
「甲斐さんも空見るんだったらあとでこうやって通話繋いで二人で見る?」
会長には悪いが僕は月にも星にもてんで興味が無い。
月見なんてしてる位なら甲斐と話してた方がよっぽど有意義だ。
「あっ、それ良い!急いで家に帰るわ、帰ったら連絡する!」
「うん、じゃあまたあとで」
……甲斐と月見か。
通話しながら同じ月を見るなんて、なんてロマンティックなんだ。
我知らず、僕は笑いを零した。
「石上くん、何か良い事でもあったんですか?」
「いえ、なんでもないです」
藤原先輩に言ったら絶対邪魔される。
いや、言わなくてもか……あの人謎のミラクル属性持ってるし。
自分の鞄を整理し、屋上に出る。
うう、少し肌寒い。何か上着を羽織ってくれば良かったかも。
「もしもし、石上。今日はよく見えるわね、凄く大きい」
「うん、会長曰く星空指数めっちゃ良いらしい。十五夜でこの数値出ちゃったら見る以外選択肢無いって」
正直なんのこっちゃ分からなかったけど、会長が楽しそうだったからとりあえず頷いておいた。
社会では空気を読む事も必須だ。
「私と石上は今違う場所に居るのに、同じ月を眺めてるって考えたら……なんか、隣に居るみたいに感じるわ。不思議で、ちょっとロマンティックね」
「……うん。月、綺麗だな」
ありったけの勇気を振り絞って言う。
甲斐がそんなロマンティックな返しをしてくるとは思えないけど。
「石上と見てるからね」
「……〜!」
ぶわっと顔が赤くなるのが分かる。
今ここが自室で、自分のベッドの上だったら。
僕は間違いなくのたうち回っている。それ程までに攻撃力が強かったのだ、今の言葉は。
なに、今の。
僕と見てるから月が綺麗?
それは、OKって事か?いやいや待て待て僕、先走り過ぎだ。
甲斐は何も分からず言った可能性の方が高い。
ここはひとつ、余裕を持って大人の表情を見せようじゃないか。
クールダウン、クールダウン……
僕は大人僕は大人僕は大人……
甲斐の言動ひとつでここまで一喜一憂してしまうなんて。
いよいよベタ惚れだな、僕は───────。
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作者名:白米 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時:2022年6月27日 0時