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｢いっ、いしがっ、石上っ、う、うし、うしろっ｣
｢い、し、が、み、くぅん♡｣
｢！！！っ！！？かっか、か……甲斐……っ｣
ぞわりと嫌な風が背筋をなぞる。
ダメだ、死んだな僕───────。
｢B+で悪かったわね、ええそうよ盛ってるわよ悪い……？だって……だってそうでもしないと見て貰えないんだもん！！石上の変態っ！！
石上なんか大っ嫌いなんだからぁ━━━━！！！｣
涙目で走っていってしまった甲斐。
しまったな……誰も居ないと思って油断してた……
｢なあ、追いかけなくて良いのか？相当傷ついてるだろ｣
｢ん……まあ、それは承知の上なんですけど……中々さっきまで最低な事言ってたもんで、どの面下げて行けばいいのか見当もつかなくて｣
｢全く……彼女が泣いてるのに面子の心配をするか。
行けよ、彼氏なんだったら｣
｢いや、彼氏じゃないですって。付き合ってたらあんな反応しませんよ｣
｢マジか、違うのか｣
あれで甲斐は結構チョロくて身内に甘い部分あるからな。
しかも見る限りドMだし。
付き合ってたらもうちょっと柔らかい反応してくれるような気はする。
……何考えてんだ僕。いよいよ最低だな。やっぱりクズの所業だ。本当に僕はいつもいつも余計な事を口走って……
悩んでる時間も勿体ないか。
会長の言った通り、あいつは今頃人目につかない所で一人で泣いてるんだろうし。
どこにいるだろう、走りながら考える。
校舎内に居る可能性は低い。旧校舎は声が響くから、泣くとすぐに勘づかれてしまう。
となると外だけど、学園の敷地は広大だ。虱潰しに探すと手間がかかるなんて物じゃない。
甲斐は50m走はそれなりだけど持久走のタイムは平均以下だ。体力がないのだろう、となればまだ時間もそれ程経ってないし、近くに居る筈。
近くで、且つ泣いていても周りにバレない所……
旧校舎の花壇の裏か。
あそこ、虫が多いんだよなぁー。大丈夫だろうか、虫刺されも心配だけどムカデや毛虫も怖い。
一刻も早く見つけないと、甲斐の白い肌が危険にさらされてしまう。
｢っ、甲斐！はぁ、んなとこに居た……｣
やっぱり予想は合っていた。
甲斐は泣き腫らした目でこちらを見ている。
｢い、しがみ｣
｢さっきはその……ごめん、デリカシー無かった……まさか聞いてるとは思ってなくて……本当、ごめん！殴るなり蹴るなり好きにしてくれ｣
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2022年6月27日 0時
