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「と……突然だな。唐突に突きつけられた現実に頭が追いついてない」
「こんな質問、二人きりの今位じゃないと訊けないでしょう。お兄さんに、闇雲に勉強するんじゃなくて……そろそろ将来の事も考えて、自分の希望に合った勉強をしろって」
「あー……まあ、お前ん家学歴厨っぽいしそうなるか……俺はまあ……家からは特に何も言われてないな」
そもそもうちの親は僕に興味無いし、兄貴もノリと流れで大学行った感あるからな。参考にならない。
僕としては、そういう将来設計的な話は今の所手持ち無沙汰で何も考えてないんだよな。
「まあ、今ん所はエスカレーターで大学行くつもりだけど……外部受験も考えてるには考えてるよ」
「へぇ、外部行くんだ……どんな所行きたいの?」
「そりゃまあ、(甲斐と一緒なら)出来るだけ上目指したいけど……うーん……悩ましい所だな。甲斐はどうすんの」
「私?……どうしよ、かな。今までずっと、これと言った目標も無くて……うーん。
私も、石上と同じとこ行こうかな」
そんな。僕と同じなんて勿体ない。
そんな言葉が喉の奥から込み上げてくるが、「またそんな事言って自分を過小評価して!」と怒鳴られそうなのでぐっと飲み込む。
「甲斐だったら東大とか行けるんじゃないの?それこそ理IIIとか」
「私は文系だから嫌よ。それに……見知った友達が居ると楽じゃない?」
甲斐の事だから、友達なんていくらでも作れそうなのに。
「まあやっぱり一番の安全策は内部よねー」
「だよなー、小学校の頃から秀知院だったからなー。俺たちに外部はちょっと早すぎる気がするんだよなー……それよりなにより、内部進学だと受験勉強必要無いのがデカい。高校生活最後まで遊べるって利点だよなー」
「そう、それなのよ。やっぱりギャルとしては最後まで遊びたいわー」
自分がギャルっていう自覚あったんだ……
まあそりゃどれだけ勉強中毒でもギャルだし一軍のお嬢様だからな。そりゃ一度きりの高校生活楽しみたいよな。
「でも世間の目とかもあれなんだよなー。
兄貴に訊いたら、小学校から大学まで秀知院だっていうと良くも悪くも必ず誤解されるらしい」
「それは嫌ね……まー偏差値高いのはそりゃ帝国だけど、就職率も考えたらエスカレーターの方が将来楽よねー」
「そうなんだよな。全くもって難しい話だよ」
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作者名:白米 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時:2022年6月27日 0時