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｢私いちごバナナで！｣
｢俺は抹茶チョコでお願いします｣
ほう、と蕩けた顔の甲斐を摘みにクレープを食べると、うん、結構美味い。また来てたらリピートしよう。
｢石上、これ美味しい！あーん｣
｢んー｣
今日の僕は調子が良い。だから、いつもなら出来ない事も出来てしまう。
これみよがしに甲斐の食べかけの所から口をつける。
所謂関節キス……わ、割とドキドキする……
｢甲斐、クリームついてる｣
甲斐がクレープにかぶりついた時に零れたであろう、頬についた生クリームを舐めとる。
うん、甲斐の国宝級顔面の影響かもしれないけど甘くて美味い。
｢あのうお客様方、お客様方の糖分にあてられてうちの店に人が寄り付かなくなってしまいます、うちの店は甘いクレープが売りなのであまり甘い雰囲気を出されると皆さんお腹いっぱいと言いますか……｣
｢え？ああ、すいません｣
｢じゃあ甲斐、あっち行って食べるか｣
｢うん｣
クレープより甘い雰囲気ってなんなんだ……そんな言葉使う事滅多に無いぞ。
まあ、その語彙をちょっと借りるなら……もっと甘い事をしたいな、そうだな……
僕のを千切って甲斐に食べさせてあげよう。
となると甲斐の口の大きさに合わせなきゃいけないから……うーん、どれ位が良いだろうか。
｢い、石上、えっとあの、別に私は全然良いんだけどここでキスはやっぱり人の目とかもあるしむぐっ｣
｢何言ってんだ？千切るにはどれ位の大きさが良いか吟味してただけなんだけど。うん、やっぱりこれ位が丁度良かったな。美味い？｣
甲斐の奴、さては僕がこんな公衆の面前でキスでもすると思ってたな。やらしー。
ああ、口いっぱいにクレープを頬張って……なんて可愛いんだ。まるでハムスターみたいだ。
……あとで路地に連れ込もう。大丈夫、キスまではセーフ、キスまではセーフだから。
その後の一線を越えなければ良いんだ。
付き合ってすらないのに身体の関係持っちゃったとかなら余裕で死ねるけど、キスだから。キスまでならセーフ。
甲斐だって拒んでないし嫌がってない……よな。多分、きっと。
だから大丈夫、ちゃんと僕の理性が働いてくれさえすれば路地裏やラブホテルのベッドに押し倒してもセーフだ。
や、まあそもそも押し倒してる時点で理性は働いてないか……頑張ろう。
こうやって自分を正当化しながら、僕は今日も理性に頼り切っている。
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2022年6月27日 0時
