twentysix ページ27
『優!』
「っ、A……」
Aから話しかけてくるなんて、一体何日ぶりだろう。
Aは顔を真っ赤にして、絞り出すように口を開いた。
『今、さっき……伊井野さんから、昨日……優が倒れたって、聞いたの……
その、もしかしたら、優が倒れたのは、私の所為なんじゃないかって……もしそうだとしたら、ごめんなさい』
「ち、違う!僕は元々身体が弱いだけだ、Aが謝る事は何も無い!僕が勝手に睡眠時間削って疲労溜めて、その結果倒れただけ!
Aがそんな申し訳なさそうな顔する理由なんて、どこにも無いんだよ……」
『だって優、隈が凄いわ……Doctorにもちゃんと寝ろって言われてるんでしょう、なのに今日も休まず学校に来て……
心配なのよ、私……』
「……え?」
いや、いや。ちょっと待てよA。
僕が倒れるまで頑張ったのは、Aを生徒会に入れる為だ。
僕をこうした本人が、『心配』?
なに、言ってんだ。
お前の所為だろ。
……落ち着け僕。Aは悪くない。
僕が生活を切り詰めすぎたのが悪いんだ。Aに怒りをぶつけちゃいけない。
一度冷静になって考えてみろ。Aが悪い要素はどこにも無い。
じゃあ、俺がそこまで生活を切り詰める原因を作ったのは誰だよ。
……それは、Aだけど。
理由も伝えないまま、勝手に生徒会を辞退したのは?
……それも、Aだ。
自分が元凶の癖に、目の前で心配そうな顔して顔色伺ってんのは、どこの誰だよ。
……Aだ。
段々と黒い感情が僕を支配していく。
僕の中の怒りが大きくなっていく。
感情を吐き出してしまえば、Aを傷つけてしまう。
『私は、優に少しでも健康な生活を送って欲しいから……』
ぷつり、と何かが切れた。
「じゃあその原因を作ってんのは誰だよ。お前だよなA。
僕は、正しい事をしてる中でそうやって小馬鹿にされるような行為が一番きらいなんだ。
何も分からない癖に、僕のしてる事に口を出すな……!」
────────あぁ、僕は失敗ばかりだ。
考えるより先に身体が動いて、気づいた時には後悔している。
吐き出しても尚、この気持ちは収まらない。
なに泣いてんだよ。泣きたいのはこっちなんだよ。
『ごめん、なさい……!』
いやな感情がぐるぐると渦巻き、僕はその場を去った。
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シディア - 続き待ってます。更新頑張ってください。 (2021年10月27日 0時) (レス) @page28 id: 939d5c7779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白米 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時:2021年4月1日 22時