twentyfive ページ26
・
「不静脈、というんでしょうか……突然心臓が激しく鳴りだし、 時々、死んでしまうのでは無いかと思う程胸が痛くなって……」
「ふむ、成程……ちなみに、四宮のお嬢さんと君はどう言った関係で?」
「この子は学校の後輩で、弟のようなものです。弟の診察に同席するのはおかしくない事でしょう?」
僕の頭をぽんぽんと撫でる四宮先輩。
どうやらここでは弟分という設定で行くようだ。
僕だって最低限の空気は読める、余計な事は言わないでおこう。
「お話を聞いて大体の所は分かりました。四宮さん、石上さん。いいですか、
それは恋の病です」
「……?何か、そう呼ばれてる心臓病でもあるのですか?」
「いえ、普通に好きな人にキュンキュンドキドキする感情の事です」
しばしの沈黙。
そんな、ラブコメみたいな……
「お医者様でもご冗談を仰る事があるのですね」
「いえ、冗談では無いのです」
「でしたらなんです!?私の可愛い弟分はあろう事かその場に居ない相手の事を考え、そのドキドキで倒れたと!?」
「何度もそう言っています」
……めちゃめちゃ恥ずかしいじゃねぇか!!!!!
いやいやでもでも、僕は恋なんてしてない。
「先生、僕が恋とかは有り得ないですよ。こんな事になったのは初めてなんです。
前例の無い診断では信用しようにも出来ません」
「恐らく君が初めての患者だね、私もウン十年医者をやっているが、初めての出来事に少し動揺しているよ。
多分初恋なんじゃないかなぁ?恋は良いよ、その人しか見えなくなるから。まぁ勿論私もまだまだ現役だがね」
「聞きたくないです」
「今先程測定をしましたが、弟さんの心臓はとても綺麗で健康です。心臓病などは有り得ないんですよ」
「そしたら石上くんは考えただけで倒れる程恋焦がれてるって事になるじゃない!!!
それじゃまるで、石上くんがその人の事大好きみたいでしょう!!!いや実際そうなのかもしれませんが!!!」
実際そうってなんですか!!!
僕がそんなに誰かを想う事なんてある筈が無い!!
「はぁ……石上くん、今日の所は帰りましょう。また新しいお医者様を見つけるわ」
「いや、別にそこまでして頂かなくても……」
これ以上恥をばら撒くのはごめんだし……
37人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シディア - 続き待ってます。更新頑張ってください。 (2021年10月27日 0時) (レス) @page28 id: 939d5c7779 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白米 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時:2021年4月1日 22時