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「なぁ、A……」



『ゆ、ゆっ……!!ご、ごめんなさ、わたっ、ちょっと気持ちの整理が……』

顔がかああっと赤くなって、見せない為にそっぽを向いた。






そうやってぐずぐずして優と喋れなくなっている間に、3日が過ぎた。



その間、特に何も無かった。


いや……この期間の間にこの現象の答えは出た。





これは多分、所謂……好き避け、というやつ。



優と喋れない自分に腹が立って、視界の端に映る明るい金髪ですら鬱陶しくなる。



段々と優が話しかけてくれる回数は減り、そのうち……



一言も喋らない日が増えた。



業務用の連絡ですら難しい。


優から話しかけてくれる事も無いし、これはきらわれたな。


……まぁ、当然と言えば当然かも。


私、明るすぎてウザイってよく言われるし。


優は名前の通り優しいから、ずっとウザイ私にわざわざ構っててくれたのかもしれない。



それが今になって面倒になっただけ。



そうだよ、私はもとからきらわれてた。


そう考えれば、つらさも……




『マシになる訳、無いじゃん……』

どれだけ諦めようとしてもいやだよ、つらいよ。




大好きなのよ、小さい頃から。


国を跨いでも大好きなの。


高校で出逢えた事が運命だとしか言い様無い位、奇跡だと思ったの。




だから余計、つらいよ……




「Aちゃん!白銀先輩がかぐや様に告るって!行こ?」



『ごめんなさい、私はいいから……皆で行ってきて。あとでどうなったか教えてね……』

自分の事でいっぱいいっぱいなのに、他人の恋愛なんて目向けてらんないよ……


はぁ、とひとつ大きな溜息をついた。


恋をしてると、溜息が多くなる気がする。




mommyは言ってた。「Aは可愛いから、自信を持って」と。


daddyも言ってた。「好きな人は他の人間と喋らせるな」と。




今は、それすら難しい。


両親の言いつけを守るには……




『仲直りが必要……』

私はポーチからカラーゴムを出して、髪を一括りに縛った。


今話しかけなかったら、明日はもっと話しかけにくくなる。




今日こそ、優と仲直りを……




「なぁ、頼むからAには言うなよ……?」



「分かってるわよ、何度もうるさいわね……不良に構ってる暇は無いのよ」

胸の中で、何かがポキリと折れた音がした。


カシャン、と落ちたポーチが音を立てる。


優はそれに気づいたみたいで、こっちに来ようとしたけれど……


私は、何も訊かず言わず、走り去った。

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シディア - 続き待ってます。更新頑張ってください。 (2021年10月27日 0時) (レス) @page28 id: 939d5c7779 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白米 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/  
作成日時:2021年4月1日 22時

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