秀知院の学者様は結婚したいver.2【石上優】【かぐや様は告らせたい】 (ページ6)

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学者様は追いつきたいページ6

｢あっ、部長！次選抜リレーですよ！｣

『おや、もうそんな時間？判った、準備するよ。』

部員に急かされ、私は優少年に会う間もなくトラックへ向かった。

『あれ、つばめ少女、どうかしたのかい？』

｢実は、風野がコケて足首やっちゃって……それで、石上くんにアンカー頼みたいんだって｣

『優少年に…アンカー？……正気かい？』

｢石上くん、サッカー部でも一番速かったみたいだから大丈夫だって！｣

違う、私が言ってるのはそういう事じゃない。

『今すぐ阻止しないと……！』

｢ちょっと、霧神！？｣

なんで気づかないんだ、優少年がアンカーになんてなったりしたら、一年が黙っちゃいない。

｢部長！もうあと一分位で順番来ますよ！？早く！｣

『今はそれ所じゃ……っ、わかった』

今すぐ優少年に会って勇気づけたい気持ちを押し殺して、私はトラックへ向かった。

『…優少年、せめて……一位でバトンを渡すよ』

今赤組は、半周差をつけられている。

《次はなんでも研究部だ！
今回バトンと共に持つ物をルーペにしている辺り、パフォーマンス一切無しの本気さが伺えます！》

うるさい喧騒から耳を背けて、私は走った。今日二度目の全力で。

くそっ、追いつけない！

頭の中で何度計算しても、私が相手を追い抜ける可能性はゼロに近しい。

『御行少年、頑張ってくれ！後は任せる！』

｢了解しました！｣

呼吸を整え、優少年を探す……も、優少年は既にトラックに立っている。

あぁ、間に合わなかった。

優少年が走り出した瞬間、運動場にはブーイングが飛び交う。

普段は可愛い後輩達なのに、今は吐き気がする。

『……どいつもこいつも……』

｢霧神、何か言った？｣

『いや？何も言ってないよ。
頑張れーっ！！！優少年！！！』

────────私の応援も虚しく、ゴールテープを切ったのは白組の走者だった。

くそ。

私が見てきた中で、優少年は失敗しか経験していない。大きな成功経験が一度もない。

願わくば、優少年が自分に自信を持てるよう───────

私は、優少年にプロポーズをする。

貴方の努力を見てきたのは貴方だけじゃないんだよ。

貴方の良い所は、意外と沢山あるんだよ。

貴方は、自分で思ってるよりも出来る人なんだよ。

そういう事を伝えたくて、私は優少年に付きまとう。

でも……もう既に、離別のカウントダウンは始まっている。