学者様について�� ページ43
｢A様、ごきげんよう！｣
｢ええ、ごきげんよう｣
｢ねぇ、今日のA様、なんか……｣
｢うん、なんかいつもと雰囲気違うよね……？｣
｢結んでた髪も下ろしてるし、白衣も着てないし……なんか、言葉の鋭さが増したっていうか……｣
｢でも、このA様も素敵ぃ……！｣
クラスメイトが口々に噂する。
当たり前だ、いつも明るくて陽気なあのA先輩がこんなに刺々しくなってる……
可愛いし綺麗だし、素敵だけど……
『A先輩、おはようございます』
｢…ああ、石上。おはよう、遅刻しなかったのね。生徒会役員としての自覚をやっと持ち始めたのかしら？｣
こんな事言われたら……心臓がギュッてなるじゃないか！
危ない危ない、危うくMの方向へ目覚めてしまいそうだ……
｢あちゃー、霧神氷バージョン来ちゃったかー｣
『つばめ先輩、何か知ってるんですか？』
｢まぁね。霧神は身につけるものによって性格が変わるのは知ってるでしょ？
今回の氷霧神はその逆、精神状態によって警戒心がMAXまで引き上げられた霧神なの｣
『精神状態…？警戒心……？』
｢うん。昨日、霧神ふわふわしてて可愛かったでしょ？
大抵ふわふわ霧神の後には氷霧神が来るんだよ〜。あの状態の霧神を元に戻す方法は一つ。
"霧神Aの心の扉を開ける事"。無理矢理こじ開けちゃダメだよ、しっかり鍵を使って開けなきゃ｣
それだけ言うと、つばめ先輩は去って行った。
心の扉、か……
多分、A先輩がおかしいのは僕の所為だ。
僕と男女の関係になったから、テンションおかしくなってるんだよな…
なら、鍵も僕の筈。
A先輩がして欲しい事、言って欲しい事……
それ見つければ、A先輩は元に戻る筈だ。
『……結婚か』
そうだ、元はと言えば……A先輩は僕に毎日プロポーズしてきた。
なら、その感覚を思い出させる事が出来れば……
でもなぁ━━━━━━━━！！
自分からプロポーズって……精神的難易度高くない！？
告白ですら二ヶ月悩んだのに！
プロポーズとなると、告白以上のメンタルが求められる……
『どうしたもんかなー……』
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月15日 16時
