学者様について�� ページ42
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『A、えっと…もう外は暗いですし、良かったら家までお送りしま…』
｢結構よ。もうタクシーは呼んであるから、そこまでで良いわ｣
あ、送るには送らなきゃダメなんだ……
｢はぁ……今日は寒いですね｣
『ええ、そうですね』
……会話が終わった。もっと話を広げるべきだったか？
"今日は寒いですね"の隠語は"貴方に温めて欲しい"だったよな。
｢良いですよね、殿方はそうやってポケットに手を入れて歩いても何も言われないんですから。
あぁー寒い。本当に寒いわ。ここまで寒いと、本当に心まで凍てついてしまいそう｣
…もしかしてA、何かアピールしてる？
僕はポケットに手突っ込んでるから手は暖かいし、A手入れて歩いてないから手寒いよな……
なら、一か八かで。
『……こういう事をして欲しかったんですか？』
意を決して、Aと手を繋いでみる。
｢……よく分かってるじゃない、合格よ｣
良かった、心做しかAの機嫌が良くなった……
Aはタクシーに乗り込む直前、僕の耳にそっと囁いた。
｢石上が女の子の気持ちを分かる人で良かったわ。
流石非童貞ね、私はそういう細やかな変化に気づける殿方が好きよ？｣
意地の悪い笑みを浮かべ、Aはタクシーに乗り去っていった。
……なんだったんだ、今日…
まぁ明日になったら治ってるかもしれないし、今日は普通に帰るか……
と思った時、四宮先輩からLINEが来た。あぁ、そういえばあの人も今日変だったよな……
会長が倒れました
！？
会長が倒れた！？
落ち着け僕、こういう時程冷静になるんだ。
今はAの事も心配だけど……あぁくそ、なんで人間の身体って物事を一気に二つ考えにくいんだろ……
文面から見れば四宮先輩は元に戻ってる。
あの仕事量だ、多分会長が倒れたのは疲労の影響かな？
なら生徒会室に戻って僕に出来る仕事は全部片付けて……
Aに伝えるべき？でも伝えたら伝えたで面倒な事になりそうな気がする……
｢石上……！｣
『うわっ伊井野、お前も来てたのか』
｢そりゃあ仕事片付けておこうとは思うでしょ。白銀先輩、死んじゃうのかしら……！？｣
『んな訳無い無い……
とりあえず残ってる会計作業全部片付けるから、伊井野はAが今日出来なかった分の仕事出来る範囲でやって』
｢分かった。ていうかあんたなんで名前呼び捨てしてんの？｣
『どっ…どうだって良いだろ！』
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月15日 16時
