学者様について�� ページ41
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『A、本当に今日どうしちゃったんです？朝起きた時はそんなんじゃ無かったですよね』
なんでも研究部の部室にて、僕はAと冷静に話していた。ちなみになん研は今日オフらしい。
まるで幼女のように可愛らしいA。
何か開いちゃいけない扉が開きそうだ。
｢むずかしいはなしは、わかんない……｣
分かんないかー！ならしょうがないな、デフォルメだもん！！
今のAはAちゃんだもん！！
｢そーいう、むずかしはなしは……きいてたら、眠くなってくる……｣
っあー、寝ちゃった……
寝顔も可愛いけど、コレじゃ困るな……
｢失礼し……あれ、君は部長のお気に入りの……｣
『あっ、石上優です！今日はオフって聞いたので、A先輩を落ち着ける為に……』
｢あぁ、そういう事か。なら良いよ、僕も鍵をかけに来ただけだからね。
ここに鍵を置いておくから、ゆっくりしておくと良いよ。部長を頼んだよ、石上くん｣
『はい』
余裕がある先輩だったなぁ、僕あと数ヶ月であんな風になれるのかな……
あと一年とちょっとで、僕は本当にAみたいに格好良い人になれるのかな……
｢っん、優少年…？｣
あ、目、覚めた。
と思ったら、Aは高くポニーテールに括っていた髪を解いて、背中までの長い髪をふわりとたなびかせた。
『A…？』
｢少し眠り過ぎてしまったようですね……珈琲を一杯淹れて頂戴、優…いえ、石上｣
…Aが、別人みたいだ……
｢何をぼうっと突っ立って居るのですか？早くしなさい、貴方の可愛い彼女のお願いよ｣
お願いっていうか命令にしか聞こえない……
反抗しても無駄だと感じ、僕は普通に部室にあったティーカップとポットを使って珈琲を淹れた。
『…お気に召したでしょうか……』
｢……まぁ、上の中位じゃないです？普通の高校生よりかは美味しいんじゃない。
煮込んだなまこのような味がしなくて良かったわ｣
強い口調だけど、珈琲を一口飲む度に微かに口元が緩んでる……
中身は普段のAと変わらないのか？
────────この時、僕は気づいていなかった。己が大きな間違いを犯 している事に。
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月15日 16時
