学者様は決意した ページ29
『はー、はー、ふぅー、はぁー……!!』
真っ赤になった頬を冷まそうと、誰も居ない中庭で深呼吸をする。
……落ち着いてきた、良かった…………
優少年、あんな平然とした表情で私に……ハートを…!
ダメだ、また顔が熱い!
優少年は私と籍を入れる事を把握した上でアレを贈ったのか?もうバラす気なのか?
私達の、秘密の交際……ここで終わってしまうのか?
『……決めた』
私も、優少年に皆の見てる前でハートを贈ろう。
だって折角優少年が勇気を出して皆の前で贈ってくれたんだ! ※出していない
それに応えないと、彼女として、人間として…彼の先輩として不義理だ! ※応えなくても彼は何も思わない
『そうと決まればハート集めだが……んー……』
優少年が納得してくれるような、大きなハート……一体どこにあるというんだ!?
「A先輩!大丈夫ですか、石上くんに凄い公開告白されてましたね!」
『あ、千花少女……そうだね、うん。あの、その……優少年が渡した位の、おっきな……
おっきなハートとか、風船で作れないかね?君のクラス、バルーンアートだろ?』
「はぁ、そうですけど…何に使うんですか?」
『…ちょっとね、自分のクラスの飾りがひとつ足りなくなってしまって。代わりが欲しいんだ』
「そういう事なら!とびきりのがうちのクラスにありますよ〜!」
『へぇ、どんなのだい?』
千花少女に連れられ、私は2-Bへ。
行く途中で、皆に見られた……優少年の所為だぞ!
なんか私も、恥ずかしくなっちゃったし……いえ、優少年が告ってくれた事は嬉しいんだけどね!
「これです!可愛いでしょ〜、これならA先輩のクラスにもきっと馴染みますよ!」
『……あぁ、そうだね!ありがとう!』
この風船…優少年を探して、贈らなければ。
早く見つけて、さっさと贈って、この心臓の高鳴りを抑えよう。
こんな、たった一つの贈り物で緊張するなんて……
私は、私は一体……どれ程優少年の事が大好きなんだ!
『……恥ずかしいから考えるのやめよう…』
今はそれより優少年だ、優少年……
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作者名:白米 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時:2021年3月15日 16時