学者様はさらけ出したい ページ19
『私、本当は性格悪くて臆病で、皆みたいに突出した才能とか特に無いし、本当つまらない女なんだよ……
優少年だって、それ位判ってるだろ？』
｢判ってますよ。A先輩は臆病だから、沢山嘘で自分を塗りたくるんでしょう？
僕は作ったA先輩でも好きですし、もしその本当のA先輩がどれだけクズでも好きですよ。
だって、もう僕は先輩に惚れてるんですから。｣
そこまで言うと、優少年はベンチに座って腕を広げた。
｢ほら、来たらどうですか？"いつもの先輩"なら、来るでしょ？
本当の先輩が来てもいいですよ。泣いてもいいし、喚いてもいいし、怒ったっていいんです。
俺が全部受け止めますから。｣
────────あぁ、この子はなんて罪深い子だろう。
既にその腕の中へ飛び込んでいる
『優少年はっ、いいよねっ！すっごく天才型だしっ、本当の自分堂々と表に出せる位の性格で！
あたしは才能とか全然無いし！こんなっ…クズ同然の性格だし！』
理不尽に、子供みたいに泣き喚くあたしを、優少年はそっと後ろから抱きしめた。
｢……僕は、天才なんかじゃないですよ。だって、A先輩が泣いてて、どうしたらいいか判らないんです。｣
何も、しなくていい。
優少年がそこに居て、あたしだけをずうっと見ていてくれるなら、あたしは何をされたっていい。
そんな言葉は勿論口から出てこなくて、出てきたのは可愛くない嗚咽ばかり。
｢僕に出来る事ならこれから先、何でもしてあげます。A先輩が望むような男になります。
……だから、そんなに自分を下げないでください……
いくらA先輩でも、A先輩を傷つけるのは許しませんから。｣
ギリッと私を抱きしめる腕に力がこもる。
『あたしは、優少年が健康で今みたいに優しくて、あたしの事お嫁にもらってくれたらそれでいいから……』
｢中々注文多いっすね……｣
『あたし、本当は欲張りなんだ。』
｢知ってます。僕はA先輩の事なら大抵の事は知ってますよ。
御伽噺と違って、現実では欲張りが最後には幸せになる事も。
いえ、俺がA先輩を幸せにしてみせます。｣
『…ふふ、タラシかい？』
｢違います。僕のタラシとか誰得ですか。｣
『私得だね、完全に。さて、行こうか！』
｢はい。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月15日 16時
