学者様は確かめたい ページ2
『僕、元は不登校で……正直、誰も信じられなかったんです。
だから先輩が僕に積極的に絡んでくるのにも、何か裏があって…
裏では僕を嘲笑ってるんじゃないかって思い込んで、その分A先輩を警戒してたんです。
でもいつまで経ってもその裏は見つけられなくて……
そのうち根負けして、先輩みたいなタイプも世の中には居るんだと認めたんです。
そしたら、世の中、意外と“良い人”が沢山居る事に気付いて。
見える景色が、少しだけ変わったんです。
だから先輩には感謝しているんです。
彼女をそう育ててくれたご両親やお兄さんにお礼を申し上げたい程……』
｢ほう｣
『！僕、つまらない話を……』
｢いいや、実に面白かったよ｣
『びっくりした……貴方、人をノセるのが恐ろしく上手いですね……』
｢いや割と君が勝手に話してたけど？
まぁとにかく……あの子がとても慕われているのは理解した｣
『そうでしょうね！』
｢謝罪をさせてくれ。そんな人の悪口を言ってしまって、正式に撤回させて貰うよ｣
『判ってくれれば良いんです』
A先輩は凄い人なんだから！
｢あと、最後に一つだけ質問いいかい？｣
『なんでしょう？』
｢Aの事、恋愛対象として好きなの？｣
『！！？なんでそんな事を見ず知らずの人に言わなきゃなんないんですか！？』
｢俺がとても知りたいからだ。好きか嫌いかで言ったらどっちだ？将来的に結婚したいとか思うの？｣
『やめてください！！そんな恥ずかしい事、言える訳無いでしょ！！』
｢それもう言ってるような物だと思わないの？｣
何してるんだ、僕は。あんな弱みを見せるような事して……
なんでだろう、あの人が相手だと警戒心が薄れて、変な事を話してしまった。
まぁもう二度と会う事は無いだろうけど。
｢ねぇ、もう帰っておくれよー……｣
｢はいはい、後でなー｣
『……先輩……そちらの方とお知り合いですか？』
｢……えっと……知らない人だよ？｣
｢どうも、Aのブラザー…兄です｣
……あ…あぁぁぁ……ぁぁぁあああ！！！！
｢さっき俺にお礼したいって言ってただろ？俺的には甥or姪の顔を見せてくれる事が1番だ。
いつベッドへ連れ込んでくれてもこちらとしては構わないよ｣
『もしかして、全部知ってた上で僕をからかったんですか？』
｢勿論｣
『……先輩、お茶目で愉快なお兄さんですね……とっても素敵な人……』
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月15日 16時
