霧神兄は確かめたい ページ1
｢失礼、君はこの学園の生徒かな？｣
『え、あ、はぁ、そうですけど……』
急に話しかけられて振り向くと、そこには帽子を深く被った高身長イケメン(恐らく)が立っていた。
｢君は霧神Aという子を知っているかい？｣
『ええ、まぁ…信頼出来る先輩ですけど』
｢ふむ……という事は、表面だけでも上手くやってるみたいだな｣
顎に手を当て、安心したようにクスリと笑うその人。
何か、どっかで見たような仕草なんだよな……
『表面だけ？どういう事ですか』
｢あんなガキ、後輩から信頼を置かれるような人間だとは思えない。
どうせボロを出さないように必死にやってるんだろう｣
『A先輩はきちんと生徒会広報としての役目を全うしていて、誰よりも尊敬できる立派な人です。
外部の輩にそんな誹りを受けるような覚えはありません』
一体この人が何者かは知らないけど、A先輩の事を
｢立派…？あんなのはまだまだ子供だ。外野の人間から見れば優秀に見えるのかもしれないが｣
『は？外野？外野なんかじゃないです！僕は生徒会会計、石上優です。
僕はずっとA先輩の隣で仕事をしてますし、貴方よりよっぽどA先輩のことは判ってます！』
｢石上優……あ…あぁ……そういう事か。成程、成程。ふむ。いやいや、失敬した。
ならば石上くん。霧神Aがどういう人間か、俺に教えてはくれないか？｣
『え？』
｢それを聞いて納得出来たら、先程の発言は撤回しよう｣
いやはや、面白い事を考えた、とその人は嬉々とした表情で僕へと発言を促した。
『……判りました』
先輩の魅力を判って貰う為だ、仕方無いだろう。
『先輩は学年一位の秀才で……』
｢勉強か研究しかやる事が無かったんだろう｣
『会長によって選ばれた生徒会広報で……』
｢代わりなんていくらでも居るだろ｣
『ちょっとつり上がった目元も可愛らしくて……』
｢親の遺伝子が良かったんだな｣
『もうっ！とにかく先輩は素敵な人なんですよ！どうしてわからないんですか！？』
｢いいリアクションをする子だ。だがその程度の事は俺も知ってる。
それじゃ納得はできないぞ？そんな外野ではも判る話ではなく、もっと身近な人物の意見……
石上優にとって、彼女がどういう存在なのかを語った方が良いんじゃないか？｣
『僕にとっての……A先輩……』
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月15日 16時
