“元”不登校様は告らせたい【不登校ネタ】 (ページ36)

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八十七話ページ36

｢前から思ってたけど、天羽って何気に石上の事私物化してね？｣

『当たり前よ、私のだもの』

｢いやお前のじゃねーし｣

｢もしかしてお前ら、付き合ってんの？｣

言わない方が良いかしら。変に弱みを握られても困るし……

でも、お父様に許可は貰ってるよのね。天下の天羽家に逆らおうなんて輩、秀知院には居ないでしょうし……

言っても良いのかしら。

『……ええ、付き合ってるわよ。悪い？』

｢チッ、石上彼女持ちかよ……お熱いねぇ。へぇ成程、ベッドの派閥争いにも参加しない訳だ｣

例え優が私と付き合ってなくたってそんな争いには参加してないでしょうね。

｢あーあー、羨ましいなー。何気に天羽って美人だし？良いよなー顔の良い男は可愛い彼女作れて｣

｢……美人っつったって、やらないぞ。悪いけど、Aは俺んだから｣

っ……！な、中々男前な事を言うじゃないの、優……

『じゃあ男子達……また夜、遊びに来るわ。
優行きましょ、私行きたい所が沢山あるの！』

｢ん、あぁ……ごめん、今日は別行動する｣

｢今日"も"だろ、どうせ……明日もして良いぞ、リア充はリア充らしく観光しとけ｣

最初はどこへ行こうかしら？腕を絡ませて優と歩く。

幸せだわ、私……

『あっ、優、焼き芋専門店ですって！行ってみない？』

｢Aが行きたいならどこへでも……｣

きゃーっ、どれも美味しそう！迷っちゃうわぁ……

『優見て、とっても可愛い！小野寺達に写真を送るわ』

｢……そういえばお前も女子高生だったな｣

『そういえばって何よ。私は正真正銘の女子高生よ』

んーっ、美味しい！甘くてとってもクセになるわ……

研修旅行の後で、家に取り寄せておやつにしましょう。これはリピートしちゃうわ！

『優、そっちのは美味しい？』

｢まぁまぁ。食う？｣

『頂くわ』

口を開けて甘味を待つ。けれど、いつまで待ってもそれは来なかった。

『……何をちんたらしているの？』

｢……え、自分で食えよ｣

『はぁー？？普通ここは彼氏である貴方が私に"あーん"をする場面でしょう』

｢ええー……｣

優は戸惑い、おずおずと私の口へスプーンを差し出した。

……美味しいわ。

『全く……最初からこうしなさいよね』

本当、照れ屋なんだから。

まぁ……優はそういう所が可愛い。

舌の上でチップスを転がしながら、私は目の前の殿方に想いを馳せた。