“元”不登校様は告らせたい【不登校ネタ】 (ページ31)

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八十二話ページ31

『研修旅行？』

｢うん、今年度の予算が卒業式もコミで大分余ってて。
備品の大量購入でどうにかなるレベルじゃあ無いから、一発デカい行事使って消費したい｣

『ふぅん、そんなに余裕あるのね。不景気が回復してきたって事だわ、良い兆しね。
研修旅行っていうのは良い案ね、会長に申請してみましょう』

予算は使い切らなきゃ来年度の寄付が減るしねぇ……

｢ほう、研修旅行。一年のか？｣

『ええ、三年生は受験勉強をする先輩方も居らっしゃいますし、この時期に宿泊行事はあまり得策では無いかと』

｢流石に海外は厳しいですが、一応国内ならどこへでも行ける程度の予算は余ってます。
所詮はただの高校生、"今年度のみの特別行事"とでも言っておけば勝手にはしゃいで疑いもしないでしょう｣

｢石上、顔がゲスい｣

流石、腐っても秀知院生……この辺りの意地悪さは兼ね備えてるのね……

｢まぁ最近修学旅行の準備で二年は部活や委員会を休んだりする事が多いからな。
一年生も退屈だろうし、予算が余ってるなら許可しよう｣

｢わーい｣

あっ可愛い！！自分の意見が案外スルッと承認されて嬉しいって顔してる！！可愛い！！

何この可愛らしい鴇色は！！

『じゃあ、マスメディア部に生徒会だよりの記事の余りが無いか訊いて来ますね』

｢あぁ、頼んだ｣

フフフッ、研修旅行……

良いわ、凄く良い！行先はどこになるのかしら、京都か沖縄、北海道のどれかとも限らないわよね！

実家があるから神奈川は避けたいわ……

あっ、静岡とか！富士山を見ながら優とゆっくりお茶したいわ……三重の伊勢神宮で二人で遅めの初詣も良いわね！

『失礼します、マスメディア部の方は居らっしゃいますか？』

｢あら、お客さん？かれーん、お客さんが来てるわ。今私達しか居ないし相手してあげなきゃ｣

なんかちょいちょい癪に障る言い方ね。

『どうも、1年B組、生徒会庶務として来ました天羽Aです』

｢マスメディア部所属、2年C組巨瀬エリカです｣

｢同じく紀かれんですわ。本日はどのような御用向きで？｣

『一年生の学校行事で研修旅行をやる事になりまして。広報したいのですが、記事に余りはありますか？』

｢あぁ！丁度埋まらなくて困っている欄がありましたの！そこを活用させて頂きます！｣

『それは良かった…え？紀先輩？その手に持っているペンとメモはなんです？』

この後小一時間生徒会室に帰れなかったのはまた別の話。