“元”不登校様は告らせたい【不登校ネタ】 (ページ30)

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八十一話ページ30

『優の事、す、す……あぁっ、やっぱり無理！』

｢天羽さん、一人で何をやってるの？｣

『ふ、副会長……優に、一度……好き、と真正面から言ってみたくて……でも、恥ずかしくてこういうのは……』

｢意気地が無いわね……そんなの、｢私は貴方の事が好き｣でいいじゃない。何をそこまで悩む必要があるの？｣

『うぅ～、どうせ副会長には判りませんよ……』

｢判らないわね、どうやったらたかが｢好き｣の一言でそんなに悩めるのか。
もう付き合ってるんだったら別に、いくら言ったって構わないでしょう｣

簡単に言うけれどね、こういうのはやっぱり私みたいなプライドの塊には難しい……！

｢はぁ……相手のどこが好きなの？｣

『どこが好き、ですか……？』

｢あるでしょう？成績が良いだとか、優しいだとか、目つきが悪いだとか……｣

『目つきが悪いのは欠点じゃ？』

｢違うの！ソレを気にしてる所が可愛いの！！……話が脱線したわ、この話は終わりにしましょう。
とにかく好きな所を見つけてみなさい｣

『副会長の周りで目つきが悪い人といえば……』

優とか、会長とか……

｢この話は終わりにするって言ったでしょう、貴方は目の前の事に集中しなさい。｣

優の好きな所……ありすぎて言い切れないな。

まずあのジットリした目つき。全部見透かされてるような、とっても湿度の高い素敵なおめめ……

それから、薄い唇。その口から紡がれる言葉は、一言一句聞き逃さずに記憶したい。

勿論内面も好きだ。案外目立つ事が嫌いな所、会長の事ヒーローだと思ってて大好きな所……

そして何より、こんな私の事を好いてくれる、優しい心の持ち主という事。

『優の持つ色は、私が今まで見てきたどんな色よりも綺麗です。
悲しい時には木漏れ日みたいな明るい裏葉柳色で慰めてくれるし、嬉しい時には輝く承和色で……』

｢ちょっと待ってください、裏葉柳、承和……あぁ成程、こういう色なんですか……
天羽さんは色をよく知っていますね｣

スマホの画面を見ながら副会長が言う。

『自分の感じた色を表現するには、勉強しとかないといけないので……』

私の観察眼による"色"の読み取り能力は、"共感覚"という能力の究極体らしい。

私は普通の共感覚と違って、味を感じたりはしないのだけれど……