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六十四話 ページ18

『失礼します』

どくりと心臓が脈打つ。怖い。何回来ても慣れない、この部屋。

お説教はいつもここだった。そして、

嫌な報告もこの部屋だった。

今日は一体何なの?何を探られるの?




「交際相手を見つけたそうだな」

バレた。やっぱりバレていた。

そりゃそうだよな、あの場には沢山人がいた。どこから漏れたっておかしくない。




『はい。
…と、とても観察力があって些細な変化にもよく気づく、素敵な…殿方です』


「ふむ…そうか。では、婚約は破棄しよう。このゲームは終わりだ。

明日にでも別れてきなさい」


『どっ…どうしてですか!?彼はとても優しくって、魅力的で…!』


「魅力がどうこうの話はしていない。
たかが玩具屋の息子にお前を嫁がせるとでも思っていたのか?
私は婚約を解消すると言っただけで、交際を続けていいとは一言も言っていない。
いずれ社交界に身をおくお前だ。
その男より夢中になれて、天羽家にもメリットのある男と出会うだろう。
そんな時に男と付き合っていては、本末転倒だ」


『………そんな…………お父様、この事は彼に…』


「好きにしろ。最後の会話でもなんでもするが良い」

クラっとして、頭が回らなくなる。

別れる?優と?必死になって落としたのに?せっかく付き合えたのに?こんなに好きなのに?

意味がわからなかった。嫌だ。そんなのは絶対嫌だ。

帰りの車の中でも、私は意識を上手く保てなかった。




「A様。足元がふらついています、本邸でどうかなさいましたか?」


『優と…別れろって……お父様が…お命じになったの……』


「!会計クンと?どうして?」


『ただの玩具屋に嫁がせる訳にはいかないって……私…そんなの……』


「……あの糞爺……本当にあの家は…!!」


『嫌…嫌だ……私、嫌よ…絶対…!』

頬を伝う涙。私はこんなに涙脆かったっけ?




「………A様、A様は会計クンの事が好きですか?」


『好きよ。決まってるじゃない』


「ならば、別れずに済む方法があるかもしれません」


『あるの…!?何っ、教えて!!』


「お兄様の手を借りるのです」


『お兄様の…?そうか、そうだわ!お兄様の手を借りればお父様を説得する事が出来るかも!』


「…ふふ、A様らしい顔つきになってきましたね。東雲とわ、精一杯協力させて頂きます」


『当たり前よ。だって……優と絶対に別れたくなんかないもの』

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竜の落し子 - うがあああああ続きが見たぁあああああい😢 (2022年2月20日 22時) (レス) @page33 id: 1eb9639434 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白米 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/  
作成日時:2021年3月12日 16時

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