“元”不登校様は告らせたい【不登校ネタ】 (ページ15)

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六十一話ページ15

｢天羽｣

『子安先輩の所へ行ったら？告ったんだから、こんな所へいちゃ勘違いされるわ』

｢勘違いならもうされてる｣

『一体何をしでかしたの、石上。付き合って早々振られるとか洒落にならないわ』

｢僕はつばめ先輩とは付き合わない｣

『は…？どういう事？』

｢僕は、奉心伝説なんか知らなかった。信じてくれ。つばめ先輩に好意なんてない｣

『嘘よ。だって貴方、体育祭の時だって頬染めてたじゃない！今更遅いわ。』

｢だからそれは誤解で……｣

『ふざけるのも大概にしてよ。普通に考えてわからない？私は貴方を信じるつもりなんて毛頭ないの。
……わかったら、さっさと子安先輩の所へ行きなさいよ……』

口から思っても無い言葉ばかりが出てくる。

違う。本当はこんな事が言いたいんじゃない。

私は石上と離れたくなんてない。

嫌だ。行かないで。ずっと私の傍に居て、離れないで。

グイッと石上が私の顔を石上の方に寄せる。

｢なぁ、僕の眼を見て判断しろ。お前ならできるだろ？僕自身の“色”を見ろ。｣

とっくに判ってる。

態々確かめたりしなくても、石上の眼は、すごく綺麗だ。

『…判ってるわ。ただちょっと、意地悪したかっただけよ』

｢はは、何それ……あ、そういえばお前、今日誕生日だっけ？｣

『ええ、そうね。確かにそうだわ。ねぇ、石上。私、一つ欲しいものがあるの』

言ってしまってもいい？今の関係は壊れない？

石上が何を考えてるのか、全くわからない。色も何も、全然役に立たない。

これまで築いてきた関係が、崩れるかもしれない。怖い。

でも、言わなきゃ。言わなきゃ何も変わらないんだから。

｢何？僕に用意できるものだったら、贈るけど。｣

『…言ったわね……私、貴方が欲しい。ずっと前から、貴方の事を考えたら胸がキリキリするの。
この気持ちはどう処理すればいいの？私、わかんないんだけど』

今までの腹いせの意味も込めて、一睨みしてから石上の唇に私の唇を押し付ける。

『……流石に、ネガティブな貴方でもここまですれば判るでしょ。
……っ私は、貴方の事が好き。普通はこんなの、男から言うものだと思うけど』

石上はぽかんとした顔をしてから、急に笑いだした。

｢…はははっ、成程？くっ…はは、そういう事か。
いや、今までの事考えればすぐわかった話だったよな。OK、僕も天羽の事好きだよ｣

そう言った後、石上は私の腕を引いた。