“元”不登校様は告らせたい【不登校ネタ】 (ページ12)

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五十八話ページ12

《天羽、今すぐ来て！屋外スピーカーの音量が明らかに小さい！》

『嘘っ、こっちでは正常に作動してるって表示されてるわ！？』

右手に持った通信機器でトラブルに対応していると、左手の通信機器からも声が聞こえてくる。

《天羽さん、大変！舞台照明の調節機器のコードがハマらない！》

『それは多分黄色のコードでしょ！舞台照明のコードは青色！
黄色はスピーカーのやつだから、そっちに繋いで、屋外スピーカーの音量調節もしておいて！』

｢Aちゃん、文化祭開始まで後30分あるか無いかだよ！いける？｣

『すみません子安先輩、空調のオーバーショートが起こりました！
一旦ほとんどの機能をストップするので石上を呼んできてください！』

｢了解っ！｣

多分使われてないバッテリーがあったから、そこを照明に回して……

空調優先だ。照明は学園内にあるソーラーパネルでなんとかなるとして、空調は……

｢天羽、なんかあった？｣

『石上、空調がオーバーショート起こしたからそっちお願い出来る？
備品室に使われてないバッテリーがあるからそれ照明に回す！
できるだけ今あるやつは空調に割り振って、13時まで使わない舞台装置はギリギリまで絞って……』

｢了解。天羽、バンドの楽器搬入終わったみたいだからそれやってた人好きに使って。
備品室のバッテリー運んでもらって、各教室の空調の確認お願い。｣

『承知！』

───────あーもう、トラブルが起きすぎじゃないか？

数十分前だから想定外の事が色々あるのはわかるけど、今までで一番ぐるぐる回ってる気がする。

｢お疲れ様です、A様。空調・照明、全て問題ありませんでした。
A様のご尽力の結果です。文化祭、問題なくスタートできそうです｣

『そう……』

｢時にA様、奉心伝説はご存知でいらっしゃいますか？｣

『……いいえ、知らないわ』

｢はるか昔、病に倒れた姫を、秀知院高等部のある場所で救ったというお話です。
その救う方法が、若い男の心臓を火にくべ、その灰を煎じたお湯を飲むというものだったのです。
そしてこの伝説に準え、この奉心祭でハートを送って告白すると、永遠の愛が手に入るという逸話があるのです｣

『……それを利用して私に告白しろ、と？』

｢ええ、そうです｣

『……そうね。考えておくわ。』

────────文化祭終了まで、あと一日と19時間