☆前を見る私たち ページ8
｢貴方たちも、夏休みが終わったんだからもう一年も折り返し……私たち二年に至っては高校生活も半分を切った。
もう焦っている暇は無いわよ。伝えられてない想いがあるのなら、今のうちに伝えておく事ね｣
｢……まあ、私はまだ二年ある訳ですけど｣
｢そんな事言ってたら何も無いまま半年位過ぎるわよ｣
なに、この妙な説得力は……？
｢それに、貴方たち今同じクラスでしょう。この機を逃す手は無いわ。とっとと告っておきなさい、来年違うクラスになったら元も子も無いんだから。違うクラスって思った以上に関わり無いわよ｣
だからその目、その目がガチ過ぎて説得力増してるんだって……
……クラス替え、か。
生徒数が少ない訳じゃないこの学校では、嫌でも毎年クラス替えはある訳で。
席替えとか、そう言うレベルの話じゃなくて。
でも私たちも、そんなクラス替えをあと二回経験したら今度は進路選択になってくる訳で。
そしたら、クラスとかそういう次元じゃなく人生の選択になってくるから、人と同じにするとかって甘ったれた事は言えないのよね。
｢甲斐さん？どうした、そんな真剣な表情して。予備校行かないの？｣
｢あ、石上。いいえ、行くよ。行く、けれど。私たち、二年になったら離れ離れになっちゃうかもしれないんだよね。クラス替えで｣
｢……まあ、そうだけど。突然どうしたの？まだ半年以上あるだろうに｣
｢かぐや先輩に言われたのよ、半年なんてあっという間だって。だから、私も半年後の事を考えてみようと思って。私たちも二年に進級したら、当たり前だけどクラス替えがあるじゃない？｣
｢まあ……でも、大体面子は変わらないんじゃないか？ほらうちの学校、家柄でクラス決めてる所あるし。親の社会的地位が急成長したらA、B組、まあ普通ってのがC、D辺り。ギリギリ許容範囲かなーって言うのがE、F組。まあ三年生になったら進路によって少し変わる訳だけど｣
｢そうね、それは結構私も気づいてたわ。じゃあ来年は一緒かもね、私たちの家ラルそんなに変わらないし｣
｢えっ家ラルって何｣
｢知らない？家柄ヒエラルキーの略よ。上から順に特権階級、各界トップ｣
｢いやそれは知ってる、曲がりなりにも俺だって純院だから……でもそんな略し方があったのか、陽キャはなんでも略すなぁ、分からん｣
そんなに分からないものかしら。長いから私たちが勝手に略しただけなんだけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2022年5月24日 21時
