☆夕暮れな私たち ページ44
｢かぐや先輩、遊びに来───────｣
い、石上。石上が。
石上が、かぐや先輩と……手を、手、手を……！
｢あら、不味い所を見られてしまいましたね｣
｢ま、不味いって……っ、二人は一体、手を繋ぐような関係でっ？｣
｢いや違うんだ甲斐、これは誤解で｣
｢なんの誤解よっ、かぐや先輩説明してください！どうして貴方たちは誰も居ない生徒会室で手なんかっ｣
｢別に何もしてませんわ。ただ石上くんの手は色白で指も細くて形も綺麗ね、と｣
｢ちょっと四宮先輩、誤解されちゃうじゃないですか｣
石上が先輩に詰め寄る。
｢……甲斐？｣
｢……だ、だめ……石上、今は嫌なの｣
私は反射的に石上の腕をぎゅっと抱きしめ、石上を引き止めていた。
これ以上石上がかぐや先輩に近づいたら、盗られちゃう気がしたから。
かぐや先輩がそんな事しないのも、かぐや先輩は会長にご執心なのも知っている。
けれど、ここで引き止めておかないと……石上がすうっと、どこかへ行ってしまいそうな気がした。
｢甲斐？大丈夫か、調子悪いんか？｣
｢ち、ちが……石上、帰るっ｣
｢わ、ちょっと！？｣
石上の腕を抱いたまま、夕日の差す旧校舎を歩く。
｢あの、甲斐｣
｢石上は……かぐや先輩の事、そういう感じに思ってたりするの｣
｢そういう感じってどういう感じだよ……あー、恋バナ的な話？無い無い、家の格違いすぎるしそもそも釣り合わないし……｣
口ではそう言ってても、心って動く物じゃない。
私は手を滑らせ、石上の腕から手首へ、手首から指へと絡ませる。
ふに、と石上の手を柔く握ると、これは凄い……凄く良い……
｢ていうかあの、甲斐……こんな所他の人に見られたら｣
｢黙れ、今石上の腕は私の物だから堪能してるの……｣
石上の腕……細いのに意外としっかりしてて、男の子って感じする……
石上……格好良い……好き……
｢あのさぁ、またお前はそうやってさぁ｣
｢わっ｣
腕を掴まれて、どんっ、と壁に押し付けられる。
何これっ、壁ドンの亜種！？
壁ドンで告白された事はあるけど、壁ドンより……なんか、ドキドキする……
ていうか石上近いっ、近い近い！
あ、でもこのアングルだと必然的に私、見下されてるみたいで素敵……
｢そういうメス顔すると男を刺激すんの分かんねぇの？ほんっと莫迦だな｣
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2022年5月24日 21時
