☆選挙後な私たち ページ40
｢石上、会計職就任おめでとう｣
｢ああ、ありがとう｣
｢白銀会長にもお祝い言っておいて｣
｢ははっ、面白い事言うな。
お前は伊井野に投票したのに｣
……！
｢な、んで知って｣
｢俺は昔から人の機微によく気づく方だからな。こう見えてちょっと心理学もかじってるし、お前が俺が選挙の話をする度に後ろめたそうな顔をしてたのはとうの前に分かってるんだよ｣
｢……本当に、よく気づくわね……私を責める？応援するとか言っておいて、伊井野に票を入れた私を｣
｢いいや？責める訳無いだろ、甲斐が伊井野に投票したのは伊井野の演説が良いと思ったから。伊井野に学園を任せたいからだろ？
第一うちの会長も演説すらしてないからな。お前の気持ちもまあ分かるよ｣
公平に判断して投票するって言ったのは私だからね。その言葉に嘘はつけないと思って、私は素直に良いと思った方に票を入れた。
私たち秀知院の生徒は生徒会長の判断を基盤として動く。
私たちを導く人ならば妥協は出来ない。
自分が本当に尊敬している人に生徒会長をやって欲しいというのが本音だ。
結果的に会長は白銀先輩になったのだけれど、きっと伊井野になっても学園は上手く回っただろう。
この学園には天才が多い。
様々な分野の天才が集って日夜学んでいるこの学園で、生徒会長になるという事はそれなりの実力を要する。
伊井野にはそれがある。
あいつは言動や思い込みこそきついけれど、学園を想う気持ちは本物。私はそれを知っている。
｢お前、さては初等部の頃から伊井野に投票してるな？俺は勘づいてるぞ｣
｢あら、バレた？そうよ、私は伊井野の事小学校の頃から応援してるの。別に私はお下げにしても三つ編みしても可愛いからね、公約に文句は無いわ｣
｢俺は絶対坊主嫌。しかも恋愛禁止なんて今の時代、それこそ青春丸潰れだよ｣
……恋愛禁止……！？
｢伊井野そんな事言ってたの！？もう投票しない……｣
｢すげぇ変わりよう……恋愛禁止ってか、男女の50cm以上の接近禁止って言ってた｣
ご、50cm！？
そんな事されたら、石上とキス出来ないじゃない！
石上とのキスは数少ない私の心を癒すヒーリングプレイなのに！
石上とのキスが無くなっちゃったら、私もうダメだわ！
｢伊井野には考え直して貰わないとね……｣
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2022年5月24日 21時
