234話 ページ47
「で?で?風王とは一体どこまで進んでんのよ」
「いや、そういう質問は答えるとAに叱られるから……無回答、って事で……」
「あっ、こいつ行く所まで行ってる!こいつは行ってる奴の台詞だ!」
和やかにクラスメイトと談笑する石上を、教師の大林ヒカルは横目で見ていた。
(中学の時、色々やらかしたみてぇで友達が居ないとは聞いていたが……心配無さそうだな)
そして、わざとガラッと扉を開け石上達の元へつかつかと歩み寄る。
「っあー……俺帰ろかな」
「俺も委員の方で用事が……」
危機を察したクラスメイト達は速やかに教室を出たが、石上は間に合わず。
教室には、大林と石上のみが取り残されてしまった。
「風王Aと、上手くやってるみたいだな?」
伊井野に彼氏自慢をするAの様子を思い浮かべながら、大林は言う。
(脅 迫されてる!?)
石上の脳は残念な事に、思考を悪い方へシフトさせてしまった。
恋愛に理解ある教師をアピールしようとしているだけとは露知らず、石上は考える。
(うちの学校に異 性 交 友を取り締まる校則は無い。無い、けど……)
教師にプライベートを知られるというのは、相応のメンタルが求められる!
遅刻&校則違反常習犯の石上も、それは同じであった!
(金持ち校の生徒と言っても、普通の男子生徒とあんまり変わらんな)
「……お、お金なら有ります……あんまり家は太くないですが、それなりに……いくら出せば黙っててくれますか……」
「うわっこういう所は金持ちだ!」
(四宮先輩なら絶対こうする!こうしなさいって言う!どうにか逃げる隙を伺わないと……)
残念な事に石上にもかぐやと同じく現金に頼る悪癖があった。
「ぼっ……僕は、Aと離れるつもりは有りませんし!Aを裏切るような事も絶対にしません!
さぁ、好きな額を言ってください!!」
石上はここ数日徹夜続きで頭が回っていなかった。
「……俺はそういうのを止めるつもりはありゃせんよ。風王とどうこうしようがお前らの勝手。
精々、大人を良いように使ってくれ」
これ以上長引いても面倒だと察し、大林は手を振って教室を後にした。
石上は呆気に取られながら、札束を財布に戻し呟いた。
「……意外と、教師って……ク ズじゃない……?」
石上が大林と信頼関係を築くまで、あと少し。
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作者名:白米 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時:2021年8月19日 17時