217話 ページ30
｢……嘘｣
｢ホント。先生に聞いたよ、優くんすっごく必死だったんだって？超可愛い｣
｢やめ、そんな事聞くなよ……｣
勝手に先生が話したんだもん、私から訊いた訳じゃ無いし。
｢確かに、優くんは私の事何も知らない。実際問題、私がこうやって倒れてる訳だしね｣
｢うっ……｣
そんな罪悪感に苛まれた顔されたら、もっと言ってやりたくなっちゃう……(Sへの目覚め)
｢でも、これから知っていって欲しいなぁ。私が倒れたら受け止めて、私が泣いたら慰めて。
全部全部、私が理想だと思う事して欲しい｣
なんて、ちょっと我儘すぎたかな。
でも、私は優くんのお姫様だから。
これ位の無理は、通して貰える筈だ。
｢僕、知ったような口利いておいて、いざって時何も出来なくて。
Aを支えられ無いなら、彼氏なんて名乗る資格……｣
｢あるよ｣
我慢出来なくて、私は優くんの言葉を遮った。
｢優くんが何も出来なくても、優くんが居てくれるだけで私の心は満たされるから。
だから、そこに優くんが彼氏である資格なんていくらでもある。一生、私の隣で私を甘やかして？
…我儘、かな｣
｢……全然。我儘、なんかじゃない。
Aが甘やかして欲しいならドロドロに甘やかすし、突き放して欲しいなら僕は離れる。
Aの望む事、全部してあげる｣
はにかんでそう言った優くん。
くっ……イケメンムーヴが刺々しい心に沁み渡るっ……！！
これが所謂、尊死っ……！！
｢私の事、一生愛してね？一秒でも私から心逸らしたら、赦さないから｣
優くんの首に腕を回して、耳元で囁いてみる。
｢うん、Aの事ずっと大好き｣
優くんは、ぎゅっと私の事を抱き締めた。
大好きな人の香りに包まれて、私は眠りに落ちてしまいそうだ。
｢生徒会行くよ。もう大丈夫、優くんが支えてくれるなら。ね、制服着せて？｣
腕を広げてそう言うと、呆れながらもカフスと襟、それからリボンをつけてくれた。
やっぱり優くんは、私に甘い。
｢優くん、大好き｣
私の放った言葉に、優くんは動じる事無くこう言った。
｢何を、当たり前の事｣
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年8月19日 17時
