200話 ページ13
「これは〜……あ、そうだ。優くんちょっと目つぶって。」
「こう?」
僕はAに言われた通り、目をつぶった。
「そうそう。んー、いい子いい子!」
あー可愛い……僕の彼女ほんと天使。
「じゃあ、教えてあげるね。これはね……」
くくくっと笑うだけで何も言わないAに、なんだよ、と思っていると。
左手薬指に違和感。
まさか、これは────────
「目開けていいよ。」
急いで自分の左手を確認すると、やっぱりそこには綺麗な指輪が。
Aの左手にも同じ物がはめてある。
「えへへ、びっくりした?」
「……それはもう。なんで、急に?」
「全然急なんかじゃないよ?今日何の日か判る?」
「特に覚えは……あ。」
心当たりが一つ、あった。
「正解。今日は、私達が付き合ってから丁度半年!石上優&風王Aのラブラブ交際半年記念日で〜す!」
「……そういう事。」
あぁ、そっか。そういえばそうだった。
何を忘れていたんだ、僕は。今日はめちゃめちゃ大切な記念日だったじゃないか。
「本当はね、ホテル行ってディナーしたりクルーズ船で夜景見ながら渡そうと思ったんだけどね。
やっぱり、私はどんなに素敵な場所より優くんのお部屋が好きだなぁって事に気づいちゃって。」
「っっ……!」
嬉しい事を言ってくれる。
「私の気持ち、受け取ってくれますか?」
「勿論、喜んで。この指輪学校以外ではいつもつけるようにする!」
当然左手の薬指に!
わぁー、嬉しい……Aに愛されてるんだなぁ、僕ってば。
「なら私も学校以外ではめよっと。ほんとは学校でもはめたいけど、皆うるさそうだし……」
はぁ、と大きな溜息をつくA。
あー可愛い。
なんか今回の一件で、本当にAが天使以上の存在だと思えてきた……実際そうだけど。
「……そうだよな、僕ら……結婚するんだよな。」
「そうだよ!子供は何人がいいかなぁ?でも優くんとイチャイチャしたいから当分はナシかなぁ……
あっ、私広いお庭が欲しいな!皆でお茶会したい!」
「僕はAと部屋を隣同士にしたい。ていうか同室でも……」
「いや絶対毎日やろうとするでしょ……」
「まぁね。」
僕達カップルの半年記念日は、十六年間生きてきた中で一番いい日だったかもしれない。
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作者名:白米 | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時:2021年8月19日 17時