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「別れてください、佐久間君」
「……え」
私は建前もオブラートに包むことも何もかもを捨てて、単刀直入に言った。
今、校門の前には私と彼氏の佐久間君しかいない。静寂に包まれた空間に、佐久間君の間抜けな声が響いたように聞こえた。
「A、今、なんて……？」
「別れてください、と言ったんです」
現実を、私が言ったことを信じられないというように目を丸くして再度聞いてきた佐久間君にあくまでも冷静に私は答える。
それを聞いた佐久間君はというと、更に目を丸くして口が開いてしまっていた。
どうやらまだ信じてくれていない……受け止めきれていないようで。なんで、と弱々しく言葉が漏れた。
「……嘘、だよな？」
「こんな嘘言わない。本気だよ、佐久間君」
しっかりと彼の目を見て言った。彼の表情は、とても弱々しかった。サッカーをしているときは勇ましく、普段は明るく。そんな彼の表情が今は本当に弱々しかった。
「……もう時間も遅いのでこの辺で。佐久間君も早く帰ってくださいね。じゃあまた明日、部活で」
そう言って佐久間君に背を向けて、帰ろうとした。
「A、待って」
「離してください」
佐久間君に腕を掴まれて、動けなかった。力を込めてなんとか逃れようとするも、駄目だった。華奢に見えるけれど佐久間君も男の子。力では到底敵わないわけで。
そのまま引き寄せられ、ぎゅっと強く抱きしめられてしまった。そして佐久間君さ私の肩に顔をうずめる。
「なんで……さっきからいつもみたいに次郎って呼んでくれないんだよ……！俺、何かしちゃった？それなら謝るし直すから、俺は、別れたくない……！お願いだから……！」
今にも泣きそうな声だった。
それでも私は、別れると決めたんだ。
「なんでか分からないことが答えなんだよ、佐久間君。私は、別れたい。……だからもう離れて」
ドン、と彼の胸板を押す。すると案外簡単に離れることが出来た。
そしてこれがとどめになったのか、佐久間君の目から大粒の涙が溢れた。
それでも私は彼に背を向けて、
「ばいばい」
そう残して、全速力で走り去るしかなかった。
「待って！」という佐久間君の言葉を無視して。
続く (更新停止中)
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rarudo - 続き楽しみにしてます！ (2022年3月28日 16時) (
レス) id: dbe3635584 (このIDを非表示/違反報告)
シグレ - こんにちは。初めまして、藍刻零紗さん。とても、切なかったです。続き、楽しみにしています。頑張って下さい！ (2020年3月5日 13時) (レス) id: e1e6c9e671 (このIDを非表示/違反報告)
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