一方通行なその恋に【K.N】 (ページ3)

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2.本ページ3

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『これは…会社前の古本屋さんで…最近出版された本は全巻持ってるんですけど、5年前くらいからの本は持ってなくて』

「読書好きなんだ？」

『本自体はあまり…でもこの人の書く本は凄く好きで…あっ、良かったら読みますか？』

「…いや、いいや。俺どっちかって言うとゲーム派」

『そうですか、残念です』

・

「でも最近暇だから読んであげてもいーよ」

そう言って彼は右手に持っていた紙袋ごち受け取る。

『えっ、全部ですか？』

「だめ？」

『あ、いや…それは全然いいんですけど…』

「じゃあ借りてくね」

読みたい、というより…私の荷物を減らそうとしているようにも見えた。

でも、それが何か嬉しかった。

「家どの辺？送ってこうか？」

『あー…タクシー拾うので大丈夫です』

「遠いの？」

『あー…はい、終電逃してしまって…』

「え…なら高いんじゃない？」

『まぁ、少しだけ…』

「……泊まってく？」

『ホテルはちょっと高いので…』

「そうじゃなくて、俺の家に」

『……はい？』

「すぐそこだし」

そして彼は私の賛否も聞かず歩いていく。

『え…、いや、あの』

「最近この辺変質者がよく出るみたいよー」

『変質者…？！』

「ほら、早く」

『ええ…っ』