【#コンパス】【13】

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イカスミのような魚介系の味は特有の臭みがあるが、トマトソースが上手くそれをスッキリさせて、ニンニクもいいアクセントである。

なにこれ！美味しい！

「グルメレポーターかよ」

「聞こえてたんですか？！！？」

そんなこんなでサーティーンさんのパスタはあまりに美味しくて、私は完食してしまった。

「サーティーンさんごちそうさまです、ありがとうございます」

「おう、口だけ拭くの忘れんなよ」

あ、そうか。イカスミだから口周りが真っ黒に！


「…このパスタは最後の食べ方があるんだ、」

ぐっと私に顔を近づけてくるサーティーンさん。

「？」

「相手にキスして拭ってもらうんだ、悪くないだろ？」

「うぇ…？！」

やっぱりそういう系の話にして行く…！

「…な〜〜んてな！！別にお前恋人じゃねえから、んなのしねえよ」

「…ですよね〜」

…なんだろう、別に私、サーティーンさんのこと特別に見てるわけじゃないし、好き、ではない、けど…。

面と向かって恋愛対象じゃないみたいなこと言われるとなぜか、心がもごもごする。

私、サーティーンさんの言動にざわざわされっぱなしだ。


サーティーンさんに再びお礼を言ってから彼の部屋を出、自分の部屋で深呼吸した。

意識しないように、遠くへ追いやるように、
黒と赤で構成されたシルエットを思考の外へ飛び出させて。

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