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まばたきとチョコレート*モトキ* ページ5

ある年のバレンタイン。
私は好きな人にチョコを渡し告白した。


「好きです、付き合ってください」


『うん』


彼はとてもほのぼのしていて、ほんわかしてて。
答えは “うん” のたった一言。
まばたきした間に返されてしまうほど短いものだった。

だけど、そんな彼だからこそ “うん” のたった一言でも良かったのかもしれない。


だが、そこで私の恋は終わったのだ。


その日から2ヶ月。

今日は生憎の雨。チャリ通の私は電車で帰った。
駅のホーム。向かいのホームには私の初恋相手であり失恋相手でもあるモトキ君がいた。

その日は雨ということもあり人がとても少なく、声も少し張れば届くくらい静かだった。

目が何回か合い少し互いに微笑み合う。

そんな事でも嬉しくて。

私の中にはまだ彼のことを諦めきれない自分がいる。その気持ちが強くなり私はまた彼に惚れていく。


《電車が来ます。黄色い線の内側にお下がり下さい。》


アナウンスが流れて電車の音が微かに聞こえる。

『Aさん』

突然呼ばれた私の名前。聞いたことのある声。

すぐにその声の主を探す。

名前を呼んだのは紛れもなく私の想い人だった。

電車が近くまで来た時彼が、

『チョコ美味しかったよ、ありがとう』
と。


ちゃんと聞き取れたその言葉。

そして、その声の主は電車によって見えなくなる。

“美味しかったよ、ありがとう”

彼は私のチョコを食べてくれたんだな。
と思うと、更に彼に惚れていく自分がいた。

私は諦めが悪い。
“うん” の一言でかわされた告白だけでこの恋は諦めきれない。

彼は私のことをどう思っているのだろうか。


ごめんね、モトキくん。

もう少し、好きでいさせてください。








.まばたきとチョコレート .

───────────────────Fin

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ろっこつ(新垢) x他1人 | 作成日時:2017年5月14日 0時

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