男の娘審神者の受難。【其ノ二】 (ページ31)

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第49話ページ31

「お話もいいですが、光藤さんたちを案内しましょう」

「あー、確かにそろそろだな。じゃ、ついてきてくれ」

それぞれ腕につけている腕時計を確認し、少し急いだ様子のふたりは、小部屋の扉を開けて外に出たので、僕と乱もそれについて行く。

小部屋の外に出ると、同じ扉が廊下の両脇にいくつもある長い廊下が続く。
それぞれ扉の横には”備前国第〇〇本丸”とプレートが設置されていた。ちなみに僕が出た部屋のプレートには”備前国第56本丸”と書かれていた。多分、沢山の扉の向こうには、それぞれ別の本丸に繋がるゲートがある小部屋があるのだろう。
その証拠に、審神者と思わしき人と、その護衛であろう刀剣男士の2人組とすれ違った。

廊下の突き当たりまで歩くと、エレベーターの扉があった。
と、2人について行く形で扉の中に入ったら、どうもエレベーターでは無いようだった。

「 ……エレベーターかと思ったら、そうじゃないんだね」

「エレベーター……？それが何なのか存じ上げませんが、これはテレポーターですね」

「 ………… 」

「？どうかしましたか？」

「 ……いや、なんか、とんでもないジェネレーションギャップを感じて……」

不思議そうな目でこちらを見る佐伯さんから思わず目をそらす。

エレベーターが何なのか通じないって、いや、うん、科学技術の進歩は目覚しいって言うし、200年経てばそんなこともあるのかもしれないけど、うん。
正直、ジェネレーションギャップどころの話じゃない。もはやカルチャーショックだ。

「そういや、光藤は平成の時代の出身なんだっけか」

テレポーターとやらのボタンを操作しながら、内原さんは僕にそう聞いてくる。

「 ……あー、うん、ちょっと僕この時代の技術についてけない」

よく考えてみれば時空転移ゲートなんてものがあるんだから、同じ時空内を移動する技術があるのは当然なんだけれども、頭が追いつかない。

「まあ、200年も違えば当然だろうな。……と、着いたぞ」

「え、あ、うん」

音も振動も風も無かったけど、いつの間に着いたんだろう。
そんな疑問を浮かべると同時に開いた扉の先には、知らない場所が広がっていた。