男の娘審神者の受難。【其ノ二】 (ページ30)

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第48話ページ30

「ううん、僕はただ本当のことを言っただけだもん」

そう当然のように言われるのは、嬉しいことだけども少しこそばゆい。
きっと、乱のこの言葉は、全く同じという訳ではなくとも、乱に限ったことじゃないのだろう。なんとなく、そう直感した。

「じゃあ乱。明日、護衛をお願いできるかな？」

「もっちろん。僕にお・ま・か・せ！」

笑顔とともに、気前の良い返事が返ってきたことも、素直に嬉しかった。

＊

翌日。約束の午前10時。
護衛の乱と共に本丸内にある政府直通のゲートを通ると、そこはゲートがあるだけの小さな個室だった。ゲートを閉め、ふと正面を見てみれば、そこには2人の男性役人がいた。

「おはようございます。お待ちしておりました。光藤さん」

役人さんがにこりと浮かべる笑顔は、やはりビジネスライクな感じがする。
……とはいえ、今回はそれを探るためにこの場に来た訳では無いので、気になるけれど気にしないようにしよう。

「おはよう。そっちの人は？」

僕は役人さんの隣にいる人物に目を向ける。

「あぁ、この方は── 」

「俺は内原一笑だ。佐伯の同僚だな。そっちの乱藤四郎様は俺のこと知ってるんじゃないか？」

佐伯さんの言葉を遮り、明るい声で名乗った見知らぬ男性役人の言葉を聞いて、僕は僕の斜め後ろに控える乱に「そうなの？」と問いかけてみる。

「うん、知ってるよ。えぇと、仁瀬、だっけ？の身柄を引き取ってくれたんだ」

なるほど。僕が倒れたあと役人が2人来たとは聞いていたが、もう1人はこの人だったか。
1人は役人さん、もとい佐伯さんで確定だろうと思っていたが、もう1人がずっと謎だったから、こうして本人を確認できて良かった。

「所で、乱藤四郎様はもう俺たちに刀を向けないんだな」

「それは……、ごめんなさい。Aさんを信じるって僕は決めたし、悪い人間だけじゃないって、まだ少しだけだけど、学んだから」

その言葉を聞くと、内原さんは「そうか」と納得した様子で答えた。
役人に向けて刀を向けたことは髭切から聞いていたが、それで動じた様子の見えないこの人も中々に手強そうだ。

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本当なら前回＊の前まで書きたかった(´・ω・｀)