男の娘審神者の受難。【其ノ二】 (ページ25)

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役人の憂鬱5 ページ25

「あー……、俺にはそういうものを感じる力はないからなぁ……」

内原さんは、私の言葉を聞いて、やや乱暴気味に頭をかいた。
基本的に、政府役人の中で、審神者のように霊力を多く持っている者は少ない。上の位に付いている役人であれば、由緒ある神社や寺の家柄の人や、そんな家柄でなくとも霊力関連の事にに聡く、またそれを使いこなせる人がごろごろいるのでそんなことも無くなるが、平役人だとかなり少なくなってくる。

「けど、お前と何人かで仁瀬から事情聴取してるんだろ？それについて何か言ってなかったのか？」

「えぇ、色々諦めたらしくてそのへんも話してくれました。単に身動きが取れなくする術だと聞いたんですが、どうも腑に落ちないんです」

「……腑に落ちない？」

「なんというか、こう、それにしては、なんか、あの、こう、おかしい感じだなぁと。今日中には上の人も改めて色々聞くと聞いたので、そのうち明かされるとは思うんですが……」

自分で言っておいてなんだが、前半物凄く雑なことを言ってしまった気がする。
案の定、私の雑すぎる説明らしきものを聞いた内原さんは「なんだそれ」とでも言いたげな顔をしていた。

「今後それが何か分かりそうなのは分かったが、えらくふわっふわしてんな」

「か、感覚的な問題でどう口で説明すればいいのか分からないんですよ！」

「いやそりゃそうだろうがもうちょっと表現のしようがあっただろ……」

「それは自分でも思いますけど……」

私がそう言うと、思ってるならそんな雑な言い方するなよ、とため息混じりの声が帰ってくる。
とはいえ、光藤さんから連絡が無いのが心配なのは変わりないが、大分気は紛れた気がする。
そんな私の様子を見て、内原さんはまた口を開いた。

「ところでさ、」

「なんですか？」

「さっきからお前の携帯鳴ってね？」

「え、……あ、……気付いてたなら言ってくださいよ！！」

すまんすまんと笑う内原さんを尻目に、机の上に画面を伏せるようにして置いていた携帯に目を向ければ、ヴーヴーと音を立てて、揺れている携帯を慌てて手に取る。
さっきから、と言うことは鳴り始めてしばらく経っているに違いない。

「あ」

慌てて手に取った携帯の画面に映っていたのは、連絡をずっと待ちかねていた人の名前だった。