男の娘審神者の受難。【其ノ二】 (ページ11)

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遺恨ページ11

二人に情報を共有すると、警戒しつつ、また様子を覗き見てみる。
先程様子を伺った時よりも、見知らぬ男の方が審神者に詰め寄っているように見えた。
と、その時、不意に見知らぬ男が後に目を向け、その目と、目が合ってしまった。

瞬間、ぞわりと背中に寒気が走る。脳裏に浮かんだのは、鶯丸によって殺された前任だった。
もちろん、あいつと全く同じわけではない。が、その所業を思い出すには十分で、一瞬思考が止まった。

兄弟が折られたこと、戦場で重傷を負い、ここで折ってくれと懇願してきた仲間のこと、仲間を失い悲しむ仲間のこと。
それを思い出したのは、ほんの一秒にも満たない短い時間の筈なのに、酷く長く感じた。

その時、腕をぐいと引っ張られた。
玄関から死角になる位置に引き戻され、はっと我に返る。

「おい、何があった」

険しい、けれど俺を案じるような顔で膝丸が俺に問う。引っ張られた腕を見てみれば、膝丸の手が俺の腕を握っていた。
どうやら、俺の様子がおかしいと察して、腕を引っ張ってくれたらしい。

「……様子を伺っているのが、向こうにばれた」

「本当にそれだけか？」

この膝丸という太刀は髭切や鶯丸、鶴丸と同じく平安生まれなだけあって、非常に聡い太刀の内の１人だ。
つまり、嘘が通じる相手ではない。

「……少し、前の審神者のことを思い出した」

「そうか。……大丈夫か？」

「あぁ」

俺がそう答えると、膝丸はそれ以上なにか聞いて来なかった。
その空気を切り替えるように、乱が口を開く。

「その、バレちゃったんだよね？」

「あぁ、特にこちらに何をしてくる様な感じはしなかったが……。男の態度が気になるから、備えはしておいた方がいいかもしれない」

俺がそう言うと、乱は顎に手を当て数秒考え、それから俺と膝丸に向き直った。

「分かった。じゃあ僕、厨の勝手口から、玄関の所まで回ってみるね」

「おい」

「だって、ここに3人とも留まってるのは危険じゃない」

「だが、練度に不安があると言ったのはお前自身だろう。何かあったらどうする」

「なら俺が行く」

案を挙げる乱に、そんな乱を抑えようとする膝丸。
俺がその会話の中に飛び込んで発言すれば、二人は同時に俺に顔を向けた。

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この小説は常に文字数制限と死闘を繰り広げてます(白目)