手紙.【Tadayoshi Okura】 (ページ40)

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錦戸side

マルを家に送り届けてから、

しんと静かな車内。

ぼーっとしとったら、

あっという間に病院に着いとった。

重い足を前に進めて、

これまたあっという間に大倉の病室の前に来とった。

前と同じ病室。

戻ってきてしまった。

また、大倉はきっと泣いてる。

また、苦しい思いせなアカン。

横山くんがドアを開けると、

そこには窓の外を向いて、座っている大倉がおった。

大｢あ…来てくれたん。ありがとうね。｣

優しく微笑むと、

手招きをして俺らを呼んだ。

大｢…………あれ、マルは？

マルはどうしたん？｣

目を真ん丸くして聞いてくる大倉に、

渋｢マルな、ちょっと体調崩してもうてん。｣

少しだけ毛が生えてきた頭をやさしく撫でながら、

すばるくんはそう言った。

大｢お大事に、って言っといてや。

マルまで倒れてもうたらみんなもう、

やってかれへんやろ？笑｣

大倉は笑ってた、けど

俺らは何にも笑うことなんて出来へんかった。