出会い ページ4
私とエイトくんはバビルスで出会った。
バビルス二年生になるときの春、一年が経ってだいたい学校に慣れたころだ。
私はお世辞にも真面目な性格ではなかった。
楽しくないことはやらない主義でおかげでテストも赤点が多い。
しかも家系能力も戦闘向けではないので実技には姿すら出さなかった。
そんな私と対照的なのがエイトくんだ。
ただ親しいヒトは私と同じで3人くらいしかいない。
私と彼は同じクラスだった。
ある日私はまた実技をサボって校舎裏にいた、
ここは昔と変わらず静かで誰も来ない。
ベンチでごろごろするのが最高。
｢Aさんだよね、実技行かないの？｣
これが彼との初めての会話だった。
『そういう優等生くんも行かないのー』
｢……今日の実技同じクラスの子を傷つけてしまった。｣
彼は申し訳なさそうな顔でそういった。
そういえばイフリートってのがいたっけな、と思い出した。
『それで申し訳なくて周りのヒトにも顔が合わせられないと、』
何だそれ、と思った。
しょうがないで片付ければいいのにどうしてそんな深刻そうな顔をするのか、
私は心底分からなかった。
｢僕のせいで火傷を負った、｣
『なるほどー』
ぽつぽつとこぼす彼。私はすでに飽きてしまっていた。
だが同時に苛々していた、言葉が喉の奥に引っ掛かっているような。
｢Aさんはどう思う？もう僕は許してもらえないかな、｣
私の苛々はもう我慢の限界がきた。
『あのねぇ考えすぎ、だいたい君は優しすぎなんだよ、悪魔らしくない。』
『いきなりイフリートが制御できなくなったんでしょ、それストレスだから、悪魔が我慢するなんて絶対無理。もうちょっと自分の心に正直になったら、』
言いたいことが全部言えてすっきりした。
清々しい気持ちと同時にこれ私焼かれないかな、と思う。
が、案外納得したような顔をする彼。
｢考えたことなかったな、そっか自分の心に正直に、｣
『そうそう、まぁ一応謝ってきたら、』
｢じゃあAさんもついて来てよ、｣
『なんでだよ、ヤだよ私。』
｢さっき自分の心に正直にって言ったヒトは誰だったかなぁ、｣
私のなかで若干ヘタレな奴だったのが案外腹黒い奴に変わった。
その後はしょうがないからついて行ったまぁ言ったの私だし、
被害者は別に怒ってなかったようだし、よかったよかった。
私はその後ばれないように帰った。
これが私とエイトくんとの最初の思い出だ。
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作者名：天音 | 作成日時：2023年8月25日 22時
