塗くんの助手。 (ページ43)

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あのちょっとした意地悪で拗ねて
いまだに引きずっていた塗くんは

もうとにかく可愛くて…

「かわいい…」

思わず声に出してしまうほど。

でも、さっきまで可愛かった塗くんは
いきなり大人な顔になって。

塗「そんなこと言ってる余裕あんの？」

そう言って私の座ってる椅子の背もたれに
手をついて顔を近づけてきた。

一気に赤くなる私の頬。

自分でもわかるくらい恥ずかしい。

「ぬ、塗くん…？」

塗「……」

名前を呼んでも、黙ったままの塗くん。

でも、かなり近い距離で
見つめられてるから恥ずかしいことに変わりはない。

「ど、どうしたの？」

塗「…気づいてよ。」

「え？」

塗「そろそろ、気づいてよ。」

そう言われてまた近くなる顔。

お互いの首には、あの時買った
お揃いのネックレスが光っていた。

「気づくって、何を？」

塗くんが何か答えようとしたみたいだけど
外から聞こえてくる足音に反応し、
言うのをやめてしまった。

そして、自分の部屋へと戻っていってしまった。

それとほぼ同時に開いたサンドグラスの扉。

今日子さんが帰ってきたみたいだけど
私はいまそれどころじゃないような状態。

掟「Aちゃん？まだあがってなかったの？」

今日子さんに声をかけられてることにも
気づかないくらい、放心状態だったみたい。

「あっ、今日子さん。お疲れ様です。
私はもうあがりますね。」

掟「お疲れ様。Aちゃん。

おやすみなさい。」

「おやすみなさい。」

ふらつく足取りで部屋へ戻る。

顔が熱い。頬はきっとまだ赤い。

塗くんは立ち去る間際にこういった。

塗「後で俺の部屋来たら教えてあげる。

話の続き。」

普通に言われるんだったら
まだ平気だったのに。

耳元で言う塗くんは、反則です。

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