塗くんの助手。 (ページ39)

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「いったぁ……」

あまりの痛さにうずくまる。

塗「ご、ごめん。大丈夫？」

めったに感情をみせない塗くんが
めずらしく焦っている。

塗「ごめん、本当。

なかなか入ってこないから
どうしたのかと思って開けたら…」

「だ、だいじょうぶ！
ドアの前で突っ立ってた私が悪いから！」

どうやら、ドアを開けようとした
タイミングが同じだったみたい。

まだ痛みの残る頭から手を離し、立ち上がった。

塗「ごめん。気をつけるこれから。

部屋、入って。」

「おじゃましまーす…」

初めて入る塗くんの部屋。

白、黒、グレーのモノトーンで
統一された綺麗な部屋。

アンティーク家具があるのは
多分、もとからついていた物だろう。

「綺麗なお部屋だね。」

塗「まくるも法郎さんも、誰にも入れたことない。」

「え！？そうなの！？」

塗「ん。でもちょっとAちゃんに
見せたいものがあったから。」

「みせたいもの？」

塗「ついてきて。」

奥の部屋に入っていく塗くんに
続いて、自分も入っていく。

そこには、たくさんのカメラが。

「塗くんって、カメラ好きなんだね。」

塗「まくるたちには秘密ね。」

「ふふ、わかってる。」

どうしてもまくるちゃんたちに
知られたくない塗くんが

なんだか可愛く見えて、少し笑っちゃう。

そんな私を見た塗くんは少し膨れっ面。

「そんな顔しないで。

そういえば、見せたいものって？」

話を逸らして、気になっていたことを聞いた。

塗くんは引き出しから1枚の写真を取り出した。

「これ……この前の？」

塗「そう。厄介さんと今日子さん。

撮ったはいいけど、本人にあげるべきかなって迷って。」

その写真には、丘の上で夕日に照らされた
今日子さんと厄介さんの写真。

この前の軽井沢観光で撮られたものだった。

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