【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ10)

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8.主人公の生い立ちページ10

何日かぶりの我が家は、やっぱりホッとする。

なんてことはなかった。

なぜ、廊下やリビングに服や靴下が落ちているんだろう。

兄はこういう人だ。
マイペースで少しのことでは動じない。

けど、だらしない。

だから、彼女さんできても長続きしないのかな？

「Aー。」

散らかっているリビングに、ため息をついてると兄が呼ぶ。

「はい。退院おめでとう。」

『お花だー。
　嬉しい。ありがとう。』

兄は私を怒らせない方法をよく知ってる。

やっぱりお花を貰うと嬉しいな。

産みの母は3歳になる前になくなり、父子家庭生活をするのは私たちの安全面を考えてなのか、出張が多いせいなのか、父は祖母の家で兄と私が育つことを望んだ。

私が小学4年生の時に祖母が腰を悪くしてしまい施設に入ることを決断したタイミングとほぼ同時期に、父は再婚し、祖母と住んでいた場所から引越し、神奈川にきた。

神奈川だったのは、兄が高校の進学先に海南大附属に行きたい、と望んだこと。
小学生の時に、祖母と暮らしていた県でインターハイがあり、一緒に観に行った時に、海南大附属の、【常勝】いう横断幕に惚れこんだらしい。

再婚相手の生まれ故郷が神奈川だったから、それも理由の一つだと思う。

その再婚相手の母とは、結局は離婚して、今は、国内出張が多い父と、兄と3人で暮らしている状況。

『お兄ちゃんも入院退院や、手術の手続き、ありがとう。
　迷惑かけてごめんなさい。』

頭に大きな手をポンと置いてくれた。

大きな手。

小さい頃からそう。
お兄ちゃんなのに、親みたい。

祖母の家に住み始めた時、天井の木の模様がなんだか怖くて…慣れるまで、布団を並べてくれたのも。
自転車を乗れるようにさせてくれたのも。
色々お世話になりっぱなし。

私を育ててくれてる。
早く私から解放してあげたいな。
周りに比べたら自由な時間が短いかな？と、少し申し訳なくなる。

「好きでケガしたんじゃないだろ？謝るな。」

入院や退院も。
詳しい手続きは分からないけど、大変だったと思うのに、そういうことは言わないでくれる。

ありがとう。

ごめんね。