【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ6)

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5.出会い⑤ ページ6

三井さん

あの時

もっと綺麗で

もっと性格のいい人と付き合って

そう言った言葉は

もちろん三井さんに幸せになってほしくて言ったんだけど

私のその言葉を

否定して

一緒にいる日々を選択してくれてありがとう

次の日

Aが俺の病室に来るまで、どこか落ち着かなかった。

夕方になっても来ないからだ。

さっき小暮が来てくれたけど、Aと2人で話したくて、すぐに帰したのによ。

ドアも、いつ来てもいいように、開けておいたのによ。

つまんねー。

『三井さん。入っても大丈夫ですか？』

「おー。
　遅かったな。なんかあったの？」

『すみません。』
『先生の診察があって、明日、退院できることになったので。バタバタしちゃって。』
『どっちにします？』

俺のテーブルの上に並べてAが聞く。
ポカリと紅茶。

俺はポカリのイメージなのか？

「ポカリ。」

正解。

と笑いながら、奈々が笑う。

やっぱり音を鳴らすみたいに笑う。

心地いいな。

「乾杯しようぜ。」

『乾杯？』

「退院するんだろ？」

『ありがとうございます。乾杯。』

右腕が使えないAは両足で缶を押さえて、器用に左手の親指で缶を開ける。

親指で缶開けるんだな。
器用だな。

「抜糸は？
　縫ったんだろ？」

聞いた話だと、Aの骨折は、複雑骨折で手術したんだと。

脱臼と骨折を同時にしたらしい。

脆いんだな。

『抜糸は、まだなので通院しながら、抜糸の時期も決める予定です。』

「そっか。」
「お互いバスケしてれば、またきっと会うだろ。」
「またな。」

俺は、丸椅子に座るAの頭をわしゃわしゃ撫でた。
Aの髪の毛は指通りがよく、心が弱い力で掴まれたような不思議な感覚を起こした。

こいつの髪の毛撫でてるの

なんかいいな。

「Aの髪の毛撫でてると眠くなるな。」

『なんですか。それ。』
『初めて言われました。』

Aがクスクス笑う。

やっぱり安らぐな。

俺が。

『では三井さんも、お大事に。』
『頑張りましょうね。』
『リバビリも。』
『バスケも。』

「おう。またな。」

握手を求めて、俺が手を出す。

Aが俺の手と握手をする。

小さい手。

参った。

もう会いてえ。