【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ49)

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47.昔の夢ページ49

いつでも会いたい

何でも言い合いたい

それくらいの心地よさが

寿くんの間にいつの間にか生まれて甘えていた

だから

あんなこと言いたくなかった

けど

寿くんに幸せになって欲しくて言ったんだよ

三井さん

ありがとうございました

……

昔から不安だったの。

母の記憶は、冷蔵庫から卵を出す姿くらいしか記憶になくて。

父はああだし。

『おにいちゃん。
　A、うまれてきてよかったのかな？』

祖母の家にまだ慣れていない頃、泣きながら兄に尋ねたことがある。

「お母さん、よく寝かしつけの時に、俺たちに
　ーーーー
　って言ってたよ。
　だから大丈夫だ。」

木漏れ日みたいな笑顔で言う兄が嘘をついていない事は、明白で信じていたいと思った。

『Aさみしいよ。
　おにいちゃんと、おばあちゃんは
　ずっといっしょ？』

「一緒だ。
　大丈夫。大丈夫。」

大丈夫？

大丈夫、だよね？

けれど、どうしても私自身の記憶になくて不安だったの。

私の額に誰かがキスをしてくれた。

夢かな？現実かな？

温かくてふわふわする。

「愛してる。
　A、おやすみ。」

『まま、またAねんねするまで、いいこしててね。』

「ぼくも。」

気になって起き上がると写真でしか見たことのない、小さい頃の兄と、母がいた。

ぼく、ってお兄ちゃんが言ってる。

すっごい変な感じだけど、その見た目にはしっくりくる。

私の手も凄く小さい。

「A、ごろん。」

何か母と話したくて、試みても声が出ない。

それどころか、母が頭を撫でてくれる手に擦り寄って、瞼を閉じてしまう。

「まま、あしたからびょういん、どうしても？」

「ごめんね。どうしてもなの。」

「やだな…けど、Aとまってる。」

「ありがとう。
　今日もみんなでギューしてねんねしようね。」

兄と母が会話してる声も遠く遠くになる。

ただ痛い程に

確かに過去の夢だって確信があった。

だって

こんなに

あたたかい夢

初めて見たから。

目が覚めたら

寿くんが頭撫でてくれていて。

寿くんがすぐそこにいて。

温かくてふわふわしてたわけだ。

ありがとう。

……
更新が週に2.3回になりそうです。
引き続きよろしくお願いします。