【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ48)

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46.卒業旅行① ＊微ページ48

あの頃

小さい頃に祖母の家で

兄と花火をしたあの頃は

ぽたぽた線香花火が落ちても

願いながら進んでいれば

いつか夢が叶う気がしてたの

俺とAは、俺の卒業旅行を兼ねて、一泊旅行に行くことにした。

どうしよう

こうなるとは心の中で思ってたけど

ドキドキする

少し怖い

「楽しかったな。」

『うん。明日も楽しみ。』

「寝るか。」

「意味わかるよな？」

答えられなくて、目を瞑ったら

寿くんが引き寄せてくれた胸の中が

寿くんが撫でてくれる背中の手が

探るように何度も重ねてくる唇が

とても丁寧で優しくて、この愛を知りたくなったの。

だって、もうこんなに、ここまで、心を預けてるから。

『分かりたい…』

「辛くなったら、背中しがみついとけ。
　やめらんねえけど。」

感情のままに、噛み付くようなキスをする。

舌を絡めて、深いキスを何度もした。

ここから先はまだしたことないからか、Aが少し怯えたように胸のあたりを押してくる。

その手を取って、俺の心臓に当てた。

「分かるだろ？」

俺もドキドキしてる、もう手離せないところまできてる。

Aの腕が首に回ったのを合図に、ふわふわしている肌に吸い付いて、所有印を増やしていく。

素直に甘い声を漏らすAが、甘い毒みたいに染み渡って、もっともっと追い詰めたくなる。

応えるAを確認しつつ、少しでも安心するように頭を撫でて、キスをしながら、事を進めた。

……

頭を撫でていたら、ふわりとAが一瞬笑った。

『大好き…おやすみ。』

案外すぐに寝たな。

だが、心もすげー満たされた。

俺も寝るか。

Aの狭い額に唇を落として、寝ることにした。

初めてだったからな、A。

ちょっとムリさせ過ぎたかもな。

だが。

Aがムニャムニャ、寝言を言っているが、
聞き取れない上に
Aが泣いていたから起こすことにしたんだ。

不安になったんだ。

『え？』

「なんで、泣いてんだよ？」
「…そんなに…イヤだったか？」
　

『違うよ。昔の夢を見てたの。』

その日は、ずっと願っていた昔の夢を見ていたの。

どんなに望んでも見れなかった、昔の夢。

寿くんが私にくれた感情と、寝かしつけの仕方がピタリと重なったからかも…と思えた。

ありがとう。