【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ47)

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45.第二ボタンページ47

Aといたら

これからも

楽しいんだろうな

諦めねえでいられるんだろうな

高校卒業式当日。

校長の長い話も終わり解散し始めた。

色々あったな。

感傷に浸る。

涙が出そうだ。

「おい、正門に可愛い子が立ってるらしいぞ。」

「他校の子だよな？」

「モデルかな？一般人じゃねーだろ。」

Aじゃねーか。

付き合い始めて髪の毛伸ばして。

付き合い始めて更に可愛くなりやがった。

今日、学校休みって言ってたな。

急いで校門に向かう。

やっぱりAだ。

『寿くん。卒業おめでとう。』

2輪の花を俺に渡してくる。

恥ずかしくて、むずむずするが、悪くねえか。

「来るなら言えよ。ビックリするじゃんか。」

『ビックリ作戦、大成功。』

いつものように音を鳴らすように笑うA。

だが。

「おい。百面相。顔が赤いぞ。どーしたー？」

『お願いがございまして…。』

　

やっぱり、こいつ緊張が極限になると、喋り方が変になるんだ。

可愛いやつ。

これを可愛いって思っちまうんだから、俺も大概やべーな。

『第二ボタンください。』
『やだ。誰にも渡したくない。全部ください。』
『あと手紙書きました。受け取ってください。』

まあ随分、早口で言ったな。
緊張すると早口にもなるからな。

「やるよ。」
「なくすなよ。」

『ありがとう。一生大事にする。ありがとう。』

ボタンくらい引きちぎってやろうと思ったが、Aがカバンから小さい手芸用のハサミを出して、手早く俺のボタンを攫った。

ボタンを抱えて、照れ臭く笑うA。

「俺こそありがとな。」
「Aがいたから、俺なりに高校生活がいいもんになって、俺なりに卒業できる。」

『寿くん。なんだかスッキリしてるけど寂しそう。』

ここまで見透かす女はAだけがいい。

「バスケ部のやつら、めんどくさい奴らばっかりだったし。
　徳男とか、濃い友達もできたし。
　Aもいるしな。」

『縁のある人たちの軌跡なら、きっと繋がっていくよ。』
『私との軌跡も…そうして…欲しいです。』

最後だけまた早口で敬語。

ホント。

お前は俺にとってのAの大きさがわかってのな。

これからじっくり解らせればいいか。

Aはボタンを攫った後に、友達と過ごして、と言って去っていった。

俺にとって、最高の形で卒業できた。