【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ45)

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43.バレンタイン① ページ45

やっぱり寿くんは

チョコをいっぱい貰えてた

…宮城side

「チュース。」

「え、なんなの？
　また来たんすか？
　推薦決まったじゃないっすか？」

「んだよ。ウゼーな。
　顔出してやってんだ。有り難く思え。」

こっちはアヤちゃんからのチョコがあるのないのか、すげー緊張してるのによ。

なんでバレンタインの日にまで来るんだよ。

「放課後、Aに会うんだけどよ。
　あいつ帰ってくるんのおせーし。
　安西先生と放課後過ごせんのも…。
　いいだろ。」

ちっともよくねーよ。

けど、2年が4人。
1年が5人。

三井サンか赤木のダンナがこねーと、紅白戦もできねえのが現実。

今日は紅白戦でもすっか。

……

「見て。彼から花束貰ったの。」

里奈ちゃんは朝、彼から花束を貰ったようで嬉しそう。
私も嬉しい。
ニマニマしちゃう。

「ニマニマしすぎ。」

ん？
これ寿くんの癖だ。

やっぱり寿くんが私の中で大きくなってるな、と感じる。

早く会いたいな。

その日は雨なのに寿くんは、駅で待っててくれた。

『待っててくれてありがとう。』

Aが駅に着いて、俺の胸に顔を押し当ててきた。

『寒かったでしょ？ごめんね。』

どこか入っててくれてもよかったのに、と言う。
Aが小さい子供のように甘えてくるのを、どこかで期待して待っていた自分がいた。

『私の傘入ってって欲しい。』

「おう。」

『私がさすよ。』

「それじゃすげー俺がカッコわりーみたいじゃねえか。」

相も変わらず、今日もクスクス笑うA。

『最近たまに不思議なの。
　寿くんって、かっこいいじゃない？』

「だろ？」

『私の彼が寿くんなのが、たまに凄く不思議なの。』

その顔が俺のことが大好きと言っているようで、思わず視線を反らしちまった。

「そうかよ。」

Aの歩調に合わせて、Aの家に向かう中

そろそろあぶねーな

と心の中で思ってしまった。

なんか最近付き合いたての頃よりも、可愛くなったよな。

隣を歩くAを見ながら、そっと嘆息をする。

どうせ、分かってねえよな。

『チョコとクッキー作ったの。
　合わせて14個。』

「俺の背番号じゃんか。
　わるくねえな。」

心底楽しそうにしてるA。

まあ、この居心地のよさに、甘えてるのは俺もだな。