【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ43)

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41.勝手にすんなよ② ページ43

思えばAと初めてケンカしたのは

ぼんやり冬景色が漂いそうな寒い日だった

『宮城さん。ぶつかってごめんなさい。』

去っていく宮城にAが言った。

「何話してたんだよ？」

Aが何回もクシャミをする。
手には炭酸の缶。
　

「この寒い日に飲んでたのか？バカか？」

『寒い…。』

Aの家がすぐそこだったから、初めてAの家に入った。

『何か飲む？』

「なんでもいいから、体あっためるの飲めよ。」

Aが俺の分も紅茶を淹れてくれた。
そっちのが似合ってるよ、お前には。

「で、勝手にすんなよ。あれ、お前が俺に謝るとこだろ？」

『ごめんなさい。』
『あの子可愛かったし、私といるより寿くんが幸せになるかもしれないって…。』

せっかく泣き止んでたのに、また泣かせちまった。

「勝手に決めんなよ。Aがいいんだよ。」

大きな瞳から涙を溢れさせてAが笑った。

『私は、寿くんじゃなきゃやだ。』

「なら、二度と引き下がるようなマネすんなよ。」
「俺に食らいつてろよ。」

食らいつくようなキスをしたのは俺の方だった。
結局敵わなかったのは、俺の方。
女なんて追いかけたのはAが初めてだったからだ。

唇を開くように促すと順応にAが応じるようになった頃のことだった。

…宮城side

翌日、部室で着替えていたら、聞き覚えのある笑い声。

「うわっはははは。」

三井サンだ。

「これ、Aから。やるよ。」
「背中、アザになってんぞ。」

湿布。
石頭だからな、って、また笑ってた。
脇目も降らずに猛進してきたんだよ。
ありゃ、いてえよ。
俺の体が頑丈だからアザで済んだんだよ。

けっ。

「Aちゃん、風邪とか引いてないんすか？」

「バカは風邪引かねえんだよ。」

あのくそ寒い日に炭酸ガブガブ飲んで。

へえ。

丈夫で何よりだ。

「つーか、お前、厳しくしすぎなんだよ。」
「まず、PGのお前も外から決められるようになれよ。」

今日は始まる前からかよ。

この目の上のタンコブめ。

けっ。

今度こそ関わらねえぞ。

なのに、この2人はなかなかに俺の人生に絡んでくることになるんだ。

似てないのに似てるんだよ。

2人とも。

どこかしぶてえんだよ。

その日は、雪が降って来て、皆んなで体育館から見た。

昨日から、寒かったもんな。