【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ40)

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38.秋の話③ ページ40

俺が変われたのか

これから変われるのか

Aが大事だと思う人間を

なくす未来がこないように

精一杯のことしてやりたい

そういう変わり方をしたいと思った

夕暮れ時の帰り道、涼しい秋風と共に歩く。

『もうちょっと、一緒ににいたい。』

繋いでいた手に弱い力を、キュッと力を込めてAが強請る。

「お前ん家の近くの公園でも寄るか。」

いつもワガママ聞いてくれてありがとう。

言うけれどよ、どれも大したことねえんだよ。

公園に行ったら逆上がりができない女の子がいて、Aが近付いて教えてやってた。

　ークイっとしてクイって。ー

なんだよ、それは。

擬音だけでできるようになりゃ苦労しねえ。

ゲラゲラ笑えた。

Aは頭はいいはずなのに教え方が絶望的に下手くそで、結局は俺が教えてやった。

「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ありがとう。ばいばい。」

Aとベンチに座る時には夕暮れが暮れそうになっていた。

「お前ガキ好き？」

『好きだよ。』

「おもしろかったな。
　さっき3人でわちゃわちゃして。」

『うん。楽しかった。』

おもしれーんだろうな。
お前がいて子供もいたら。
そういう毎日が来たら。

「いつかちゃんと言うからよ。」

『何が？』

まだ分かんなくていい
そう言って寿くんが笑う。

やっぱり笑うと可愛いな。
好きが、溢れてるくらいだよ。

繰り返される啄むようなキスにクラクラする。

「口開けるんだよ。」

　

今までそういうキス。

『そんなキスしたことない。』

Aの小さい頭を抱えて

Aの頼りない背中を撫でながら

Aが俺の服を掴むのを確認しながら

何度も何度も何度も角度を変えて

深いキスを繰り返した。

最後にAの唇をペロリとする。

縋り付くように俺の服を掴みながら目を潤ませているAを強く抱きしめた。

互いの心臓の音が聞こえいた。

限界を突破しそうになったが止めた。

Aの頭に俺の顔を埋めて落ち着かせようとした。

けどよ。

「やっぱ、もっ回だけいいか？」

Aは、びくりと体を揺らしたがイヤそうではなかった。

もう一度だけ深いキスをして、きちんと欲を飲み込む。

大事にするんだ。

きちんと制した。

付き合って初めてきた秋の話だ。