【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ38)

今日:3 hit、昨日:17 hit、合計:10,934 hit

36.秋の話② ページ38

こんなに優しく頼りなく

俺のことを守ろうとするのは

Aだけだ

「付き合ってるのによ。
　なんか悪いな。」

最近いつも飯かバスケの練習。
今日は午前練だったから、少し遅い昼飯を一緒に食ってる。

『ん？』

ずっと俺の個人練習とか、飯食うとか、家とか、そんなんばっかで悪いな。
なんかすげーかっこわりーみたいじゃんか。
と説明した。

Aは相変わらず笑ってた。

俺が怒らないでいられるのは、そうやって真っ直ぐ俺のこと見て笑う、そういうとこ。

『気にしないで。なんもだよ。』
『あ、冬の選抜連れてって欲しい。』

「おう。」
「そういえば、ばあちゃんと兄ちゃんの話はよく聞くけど。
　お前、親の話しねーのな。」

『ああ。
　母は私が3歳になる前に亡くなったから。
　なんか冷蔵庫から卵出すとか、断片的なことしか覚えてないんだよ。』
『写真見る？』

Aが手帳に挟んである写真を見せてくれた。

三枚も挟んでやがる。

一枚目俺とAの。
そういえば撮ったな。

二枚目おふくろさんとAとAの兄ちゃんの写真。

三枚目は、ばあちゃんとAとAの兄ちゃんの。
どっかの兄弟と違って、目が似てるな。
これは兄妹って言われても分かる。
加えてAはおふくろさんに似てるんだな。
成長したら、こんな風になるんだろう。

疑念が湧いたから率直に聞いた。

「なんで破れてんだよ？」
「テープで貼ってあるけどよ。」
「反抗期で破いたのか？」

そういう性格じゃないだろ？

『父、一時期再婚してたんだけどね。』
『その再婚相手さん怒らせた時にそうなったんだよ。』
『私が上手くたちまってたら、破れなかったのにね。』

「その、親父さんは？」

『ああ。
　出張が多いらしくて、あんまり家にいないの。
　表向きには。』

変なことまで言っちゃった…。
でも

嘘付かない

そう付き合う時に約束したし。

どうしたものかな…。

「おい。」

話すなら早い方がいい。

好きになって。

傷跡のこと受け止めてくれて。

付き合って。

どんどん好きになってて。

「大丈夫か？」

私、今どんな風な顔してるんだろう。

『お兄ちゃんに許可取るね。』

「お、おう。」

携帯片手に店の外出て行きやがって。

笑わせてやりたくて。

きっとAなら笑って両親の話するんのかな？
そう思ってたのにな。